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潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る

潜水服は蝶の夢を見る

作家
ジャン=ドミニック ボービー
河野万里子
出版社
講談社
発売日
1998-03-05
ISBN
9784062088671
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潜水服は蝶の夢を見る / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

人間の無限の可能性を示してくれる素晴らしいエッセイ。著者のボービーは脳出血により全身麻痺の状態になってしまう。意思伝達のために使えるのは左目だけだ。左目のまばたきで周りの人と意志のやり取りをして、このエッセイを書き上げた。医療機器のことを潜水服と表現する詩的なセンスが素晴らしい。蝶とはドミニクの心のことだ。植物人間状態になっても人の心はしなやかさを失わない。ベットに縛りつけられたままでボービーの心は、蝶のように飛翔する。過去の思い出は痛切だ。子供達への愛情に胸が痛む。絶望もある。(続きます)

2018/06/03

metoo

雑誌ELLEの編集長。倒れた時は43歳。植物人間になったわけではない。動かないのは左の瞼以外の身体全て。表したい文字のところで瞬きをして単語を組み立て書き上げた本書。スポットライトが当たった編集長時代、そして自分の意志では動けない潜水服時代。どの頁を開けても、洒落て皮肉で軽妙で誇り高く抑制された文章に触れられる。あの時、倒れたまま、絶命した方が良かったなどと一言も書かれていない。心だけは蝶のように軽やかに舞い上がる。

2015/10/02

えりか

借り本。思いや考えを伝えることの難しさに悩んでいた時に教えてもらった本。人は口や手や体や文字を使って気持ちを表現する。もし体の全てが麻痺したら、どうすればいいだろう。思考し心を動かしているのに表現できない苦しさや悲しみは計り知れない。それにも関わらず唯一動く左目だけで表現された彼の言葉はユーモアがあって優しくて繊細で彼がロックトイン症候群だということを忘れさせる。潜水服を着ているかのような重たい体の彼は、まさに左目を使って蝶のように自由に舞っていた。私は彼に伝えることを諦めない強い気持ちを教えてもらった。

2017/04/26

NAO

『ELLE』の編集長として多忙な日々を過ごしていた作者は、ある日突然脳梗塞で身体的自由をすべて奪われてしまう。自分の意志で唯一動かせるのが左のまぶたのみ。何万回ものまたたきを繰り返して綴られていった文章は、彼の知性とウィットと優しさに溢れている。全身麻痺という状態になってもオシャレを貫きたいと願い、自分のことよりも文章を起こしてくれるボランティアや年老いた父を思いやる彼の姿は、粋で誇り高いパリジャンそのもの。どんなときにも精神の自由だけは奪われはしないという、彼の強い意志。その気高さに胸を打たれる。

2015/12/15

たまきら

ELLEの編集長として精力的に活動していた男性が、突然倒れて左目のまぶた以外意志で動かすことが出来なくなってしまい…。映画のような実話、映画になっています。食いしんぼの自分には、味を夢想する彼の文章が身につまされました。動いていて当たり前、が奪われた人の心を、タイトルが美しく表現しています。著者はこの本が出版された数日後に亡くなったそうです。

2023/04/29

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