KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

弥勒 (MephistoClub)

弥勒 (MephistoClub)

弥勒 (MephistoClub)

作家
篠田節子
出版社
講談社
発売日
1998-09-01
ISBN
9784062092821
amazonで購入する

弥勒 (MephistoClub) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

みも

凄絶…途轍もない作品。読友さんが篠田作品の最高傑作だと教えて下さった。僕がこれまで触れてきた優れた篠田作品と比較しても異次元の光彩を放つ。同時期に上梓され受賞作品となった『女たちのジハード』『ゴサインタン』をも遥かに凌駕する。本作での何の受賞もないのが不可思議だ。但し、その描写は胸を潰される程に激烈で安易にお薦め出来ない。生半可な気持ちで手にすると大怪我をする。硬質な文体で綴る圧倒的リアリティと巧緻な構成。信仰と合理主義、国の栄華と地方の貧困…僕の価値観や人間性をも根底から揺さぶるその問いはあまりに重い。

2020/08/31

kaizen@名古屋de朝活読書会

インドと中国に対する文化の理解なしに読むと、 やや暗さが強くなってしまうかもしれない。 男性が書くような残酷な物語の中に、 女性の底強さを感じさせるものがある。 弥勒の像の位置づけが、今一歩理解できていないのは、 インド、中国に対する文化理解が甘いからだろうか。 何度も読み返しながら読み進んだ。 飽きることはないが、重苦しさだけが残ったかもしれない。

2014/04/23

クリママ

ヒマラヤの麓、パスキム王国。卓越した技巧で作られた美しい仏像に魅せられての旅が、クーデターに巻き込まれる。主人公永岡は嫌ななやつと思い、気付けば私も同じ思考回路を持つ日本人。王国に住む人の生きる場所、階層によって違うそれぞれの価値観に、戸惑いつつも納得できるものがある。永岡の壮絶な体験とともに、今まで正しいと思っていたことが絶対ではないと足元を揺さぶられるようだ。そんな問いかけは、「ミッション」「インドクリスタル」へと続いていく。篠田節子は、かの地で何を見たのだろう。

2016/08/18

naginoha

読了しこの本を置いたとき、思わず仏典を捧げたような幻覚を覚えた。しばらくストーリーを思い返さずにいられない。 生ける者真に平等と言えるのは死しかない。皮肉にもそこには「平等な世界」があった。畜生道と何ら変わらない平等な世界。そのいびつなイデオロギーに凝り固まった極限論を思う。いくら血を吸ってもそのユートピアは実現するはずはない。 人はやはり、救いがないとダメになるんだ。 私はこの曼荼羅のような作品に救われたような気がした。 5/5

2020/06/08

カザリ

力作だとは、思うけれど、正直途中下車。篠田作品は重厚で人間に対するリアリズムが徹底していてすごいと思う。けれど、今回の作品では、美術に携わる人たちが主人公のせいか、芸術至上主義の考え方が鼻についた。日本がだめとか、批判する人はいっぱいいるんだけれど、なんていうか本当のリアリズムってやっぱり現場になると思う。現場はもっと向日性にあふれているというか、なんとかしなくちゃいけないところから、理想ばかり言っていたられなくて、現実と折り合うために少しだけ理想に近づく手法をとることがほとんど。つづく

2016/09/08

感想・レビューをもっと見る