火怨 下: 北の耀星アテルイ
火怨 下: 北の耀星アテルイ / 感想・レビュー
さつき
下巻に入っても阿弖流為の快進撃は続き、ここからどうやって史実に着地させるんだろうと興味津々で読みました。そして予想外の展開に心揺さぶられました。長く続く戦いは、社会への影響も計り知れない。ずっと戦い続けることは次の世代にとってどうなのか。子供たちや、その裔に寄せる阿弖流為の思いに心打たれます。
2018/11/03
りー
下巻の最初、蝦夷TOP たちの(まさかの)都見物で田村麻呂と対面。「お互い戦場ではファイトだゼ!!」と別れてから4年後、田村麻呂が副将として多賀城へ赴任。朝廷は平安京への遷都を進める一方で10万の兵を多賀へ送り込んできた。1度は山岳に砦を築き、撃退した蝦夷軍。朝廷軍はついに田村麻呂を制夷大将軍に据えた。この時点で、20年近くが経過。蝦夷側は戦による国の疲弊を怖れ、阿弖流為は自らをスケープゴートとすることに。そして、あの結末。嗚呼。
2018/04/29
tetsu
★5 大きな歴史の流れの中で時代はヒーローを求める。阿弖流為がまさにその人で、敵方の将軍、坂上田村麻呂も阿弖流為を引き立て助ける役割をはたすことになる。 志を貫いた阿弖流為は信頼と行動力で多くの仲間を集め、その短い生涯の中で最後まで戦に負けることはなかった。 スケールの大きな読みごたえのある歴史小説。
2013/02/13
藤枝梅安
高橋さんの作品は読み応えがある。 しかし、どうしても気になるのが、「笑い」の描写。 「皆は爆笑した。」とか「腹を抱えた。」など、大げさな表現が多い。 「竜の柩」では「笑い転げた。」の多用が気になった。 これは好みの問題だろうが、高橋さんの本を読むときには、 これからも「笑い」に悩まされることを覚悟しなければならない。
2009/08/22
印度 洋一郎
下巻は、阿弖流為と坂上田村麻呂の直接対決!なのだが、戦闘というよりも、互いの手を読み合う知略の対決だったのは意外。田村麻呂は何とか紛争を回避して、陸奥を朝廷支配下に入れるべく腐心し、阿弖流為はそれに抗いつつも、終わりのない戦いの前途に気づいていく。幾ら戦闘で勝っても、戦略的には蝦夷には未来の展望が拓けない。そこで阿弖流為はある奇策を打つ。結末は歴史の通りだが、その裏には蝦夷の未来を見据えた深謀があり、田村麻呂もその心に応える。正に漢と漢との熱い物語。歴史の記録が少ない故、小説として描くことの出来た作品だ。
2019/10/22
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