地の掟 月のまなざし
地の掟 月のまなざし / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
縄文ファンタジー第二章。前作『月神の統べる森で』では、月神信仰と共に森で生きる民と、海を渡ってきた日の神の巫女ヒメカに率いられる民との闘いの序章が描かれた。縄文人と弥生人の勢力争いを想像し興味深く読めた。本書では、ヒメカの秘された罪と日の国の暗部が明らかになり、二つの民族の対立という構図から、物語はより複雑な展開を見せる。月神の巫者シクイルケの命と引き換えに生き延びた日の国の少年ワカヒコが今後の鍵を握る一人になりそう。精霊カムイとなったシクイルケに導かれ、少年は自らの運命を切り拓こうと第一歩を踏み出す。
2015/09/22
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
*古史古伝・2巻*時は縄文末期、山も川も動物も、みな心ある存在として共生していた神代の時代。その数千年続いた平和が異文化、弥生人に脅かされている!戦乱の緊張が高まる中、宿命に選ばれた二人の少年を中心に、新たな運命の歯車が廻り始めようとしていた…――前巻『月神の統べる森で』も秀逸と思っておりましたが、その秀逸作品が更にエンジンのギアを上げてきた! ⇒続き
2013/11/30
鮎
月神2巻目。本巻の見所はヒメカのクニの内情やワカヒコを取り巻く厳しい政治劇。アテルイのムラに馴染んでいくポイシュマとの対比が皮肉なほど鮮やかです。舞台を移したことでカムイたちに代わって人間の少年少女がたくさん登場し、児童書ファンタジー好きには嬉しい展開。そして前巻でも感じたことだけど、本作での<役目>という考え方がとてもいい。つねに循環していて全体でひとつの大きな生命、人も獣も草木もみんなそこに組み込まれていて、それぞれに見合った役目を持っている。この一体感がごく当たり前に描かれているのが素晴らしい。
2017/01/24
ときわ
続けて再読。でもすっかり忘れてるからほとんど初読。ポイシュマは生まれて初めて人間たちと暮らし始めた。ポイシュマを追いかけていくことで、縄文の暮らしぶりを描写するという展開がうまいわ。それなりに楽しんでいるポイシュマに比べ、自分の国にやっと帰れたワカヒコは苦難の連続。ちょっと文化的らしいけれど、身分があり、上を目指そうとすれば、人間関係がよりややこしくなるのは仕方ないことなのか?ホムタのことは最初は好きだはなかったが、現実的な考え方をし、その中で夢を実現させようとしていることが分かり好きになった。
2019/06/29
Mumiu
シクイルケとアテルイが活躍した月神から、ポイシュマとワカヒコがそれぞれの立場で成長していく「地の掟…」。クニを追われ、でもクニを思うワカヒコ。森を出てムラという集団に初めてはいるポイシュマ。ふたりの立ち位置を説明している巻という感じでした。まだまだこれからお話しが動いて続く感たっぷりです。
2012/07/27
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