シャーロック・ホームズ事件と心理の謎
シャーロック・ホームズ事件と心理の謎 / 感想・レビュー
SEI
自身も心理学者であるジョン・ラドフォードが、心理学の観点からホームズ物語を読解したもの。ホームズの性格や、ワトスンの能力、フロイトとホームズの類似点や軽いホームズ物語に見られる精神分析的アプローチなど多岐に渡る話題が楽しい。あくまで原理主義者である著者はドイルを読解の参照点に引くことをしないので視点もそれだけ限られてくるが、ホームズとワトスンの心理学的パーソナリティ分析を、実に学術的にやってのける。ホームズ熱の解読まで試みており、その射程は広い。 シャーロキアンならずともファンなら楽しめるだろう。
2017/09/18
ぽま
副題の通り、ホームズ正典譚を心理学的に見た場合の解釈をメインとする研究書。その対象はホームズやワトスンのみならず、正典中の人物らの精神分析にまで及んでいる。ホームズやワトスンを本格的な心理測定にかけたり、知能レベルテストについても考察している。興味深い研究書であるが、筆者は自ら認める強固な『正典原理主義者(正典で起こったことは事実であるとするシャーロキアン、つまり、ホームズを実在の人物であるとする古典的立場)』であるため、ライトな読者には、少々鼻につくところがあるかもしれない。
2012/03/09
Ecriture
ホームズを実在の人物と考えるシャーロキアンによるホームズ本。パスティーシュもホームズの研究書扱いするあたりはついていけない。ニコラス・メイヤーの、モリアーティはホームズの妄想でありホームズはウィーンでフロイトにコカイン中毒を治してもらったという改変版、トレヴァー・ホールの、ホームズ少年の家庭教師がモリアーティでホームズ母と不倫関係にあった説など。奇説満載。マザリン→「ぼくは頭脳(世界の終り・演技の層)」、マザリン・オレンジ→ぼくは正義・最終控訴院(ステンシル)。ホームズは超自我そのものになったp210。
2013/05/28
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