奇術探偵曾我佳城全集
奇術探偵曾我佳城全集 / 感想・レビュー
オフィーリア
美人奇術師の曾我佳城を主人公とした短編集。奇術を題材とした作品が22作も詰め込まれている贅沢な1冊。奇術という同じテーマを扱いながらどの作品も短い中にしっかりと伏線と真相が上手く盛り込まれて作者様の力量を感じます。大ボリュームの短編集ですが登場人物も共通しているので読んでいる内にどっぷりと世界観に嵌っていきました。そして、そこまでのめり込んだ先に待っていた結末にまた衝撃。全集という形でまとめ読み出来て良かったなと思えた読書でした。
2022/04/29
紅はこべ
たけしの芸能史のマジック特集を観て、国産の一番好きなマジシャンもの。
maimai
泡坂妻夫のミステリは、純然たる大人の知的遊戯としてのそれだと思う。そして、よく言われることだが、泡坂ミステリのトリックと奇術との共通点。なかでも、他の短編のシリーズとは違い、すぐに目立つような探偵役のキャラクターや派手な謎などのない「曾我佳城」のシリーズでは、その緻密な組み立てや自然なミスディレクションが一層浮き彫りになって、泡坂が奇術のそれに通底する作法で、多くの創作を続けてきたのだということを、より強く感じられる。そして心憎いのは、シリーズ開始から20年をかけて落成した大建築の絢爛。なんと。
2020/11/25
造理
★★★★☆ 奇術ミステリてんこ盛り。まさに作者の独擅場。作品としては「消える銃弾」や「白いハンカチーフ」が良かった。そしてある作品が伏線となり衝撃のラストへ・・私もこの結末はちょっと残念かなあ。さりげなく芸能レポーターの赤染さんが出てきて嬉しかった!
2016/07/28
nightowl
悲しいことに、すっかり作者から忘れられ放置状態のシリーズ作品は沢山ある。しかしそこは泡坂妻夫。愛すべきヒロインに切なくも見事な花道を飾っている。短い中にさらりと伏線を張る名人芸がお見事。手品とミステリの楽しさが伝わってくる。なんと、ワイドショー番組の台本形式となる作品「白いハンカチーフ」、結びをテーマにしたミステリ「バースデイロープ」、"噂の人物"の悲哀「真珠夫人」が好み。ところで、単行本版の紋意匠は作者自身。装丁は奇抜さでお馴染み(例:恩田陸「ユージニア」単行本の凝り様)祖父江慎+コズフィッシュ。
2018/04/21
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