花腐し
花腐し / 感想・レビュー
遥かなる想い
第123回(平成12年度上半期) 芥川賞受賞。 全編に漂う雨にうたれるような 湿った感覚が懐かしい。 新宿大久保周辺で棲息する 40半ばの主人公のなげやりな 日々は、退廃的で、その内面から 滲み出る茸や花のイメージは 物語に奇妙な雰囲気を醸し出して いる。それにしても著者が 執拗に描く主人公の内部に すみつく茸は何を意味するもの なのか。ヌメヌメとした感覚が 全編に漂う、そんな話だった。
2014/06/07
Koichiro Minematsu
女を愛し、仕事に生きてきた中年男は、全てを失ってまでも自分はまだ格好を良く生きろうともがくが、腐れていくことも、虚の世界の生き方というのもあることを、花腐しという言葉で知ることになる。言葉とは裏腹に万葉集にあると、立ち退きを迫った男から。マジックマッシュルーム栽培の男から。
2020/05/06
メタボン
☆☆☆☆ 表題作、「ひたひたと」の両短篇とも、暗く湿った空気感が漂う作品。詩人の奥行きのある言葉遣いがその空気感を一層凄味のあるものにしている。「ひたひたと」で川べりから家へと向かう間に、子供、青年、父親と自分の立場、年齢が、いつの間にか入れ替わっているあたりの表現が、違和感なく、継ぎ目もなく、上手い。その点で、芥川賞の表題作よりも、書下ろしの「ひたひたと」の方が私は好きだ。
2020/11/04
JUN
ゆったりと暗い感じでストーリーが展開していくが、自分の好きな感じの描写なのか、情景が鮮明に浮かんでくる事が多かった。
2015/09/30
うらなり
伊関の生き方に共感する。クタニも伊関同様経済破綻人なのだが負債の多い伊関のほうが楽しそう。負債なんてブラックホールのようなものだと。読めない漢字が二つ。二つ並べてコンコンというらしいが、認識付電子辞書漢字字典でも出てこない。
2020/06/22
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