コールドゲーム
コールドゲーム / 感想・レビュー
Take@磨穿鉄靴
荻原氏。引き出し多いなあ。イジメに関して加害者側の視点ということで序盤から見えない犯人に「報復なんかしないで幸せにフォーカスして邁進する」のが当然ベターなんだけど「報復やむなし」という気持ちで深入りしないように読んでいるつもりが気付いたら引き込まれていた。ただ一つの揺るぎない「解」はない。人は脆い。徹底的に痛めつけられて希望を奪われた彼には同情する。彼に復讐以外の生きる意味を見出す助けを自分は何か出来るか考えた。そして自分に約束した。この現世は冷たい世界ではない。そう信じたい。★★★☆☆
2023/07/29
Our Homeisland
この作者のものは初めてでした。前から気になっていたこの作品を読むことができましたが、思ってた以上に良かったです。高い評価でおすすめの小説だと思いました。それぞれの登場人物たちの輪郭もはっきりしていて分かりやすいですし、ラストのどんでん返しもあってストーリーの奇抜さとスピード感もかなりのものでした。扱っているテーマも秀逸ですし、その題材と事件の救いの無さも、じわじわと身にしみてきます。徹底的な衝撃的事件の描写の迫力はなんといっても、それが不快で唾棄すべき場面ではあっても、卓越していた点も気に入りました。
2014/09/16
kiyoboo
中学校時代にいじめられていた廣吉、通称トロ吉が4年後に反撃をする。いじめた度合いに応じての反撃だからいじめっ子の亮太や清水は逆にパトロールをしたりして強がる。やがて清水が犠牲になってしまう。文中、仕返しをしているトロ吉がなかなか出てこない。スピルバーグ監督の「激突」を思い起こすような執念さと恐怖を覚える。トロ吉の虚像に踊らされる面々。主人公の光也自身「自分は例外だ」と思っていたが、「出来るのになにもしなかった罪、見ているのに見なかった罪」とノートにあった。直接の加害者でなくても罪人になる。考えさせられた。
2016/08/10
リッツ
中断出来ずに一気読み。過去からの復讐が始まった、保身から良心の呵責からと理由はそれぞれながら自分達で解決しようと集まった少年達。あの頃より少し大人になった彼らの関係は、なかなか悪くないユーモアさえ感じさせるものだったが、絶望のまま時間を止めてしまった者の事を忘れてはいけない、そしてまさかそこまで…。犯人は本当にあの子なのか?そしてどこまで続く?思い込んだ推理は半分大きくハズレ、勝手にひっかかってしまった。誰がどうすれば良かったのか?危うい話だった。
2016/09/22
そのぼん
恐かった。いじめられた少年の復習か、それとも―。そんな始まりかたでした。タイトルと冒頭の雰囲気からして、青春ものかと思いきや、ひたすら重苦しい話でした。いじめた方は忘れていても、いじめられていた方はトラウマになってるんだろうなぁ…。そして、結末も自分が思っていたのとは違いました。読んでいてしんどくなるような作品でした。
2011/12/19
感想・レビューをもっと見る