かくも繊細なる横暴: 日本六八年小説論
かくも繊細なる横暴: 日本六八年小説論 / 感想・レビュー
しゅん
どうにも言葉が噛み砕けず、選ばれた五者(古井、後藤、大江、中上、金井)の作品の再読の必要を痛感しました。一応全員読んだことある作家だったのだが…。埴谷雄高的な、隠喩をふんだんに用いた抽象にだけは傾かないという気概が全体に共通していることはなんとなく感じたけれど、その感性が「六八年」とどう結びついているかもうまくつかめていない。ただ、中上健次を感傷的態度から救おうとする(自己批判も含めた)批評が、そのまま金井美恵子の批評につながっていく感覚はスリリングで、この辺りに注視してそのうち改めて読み直したい。
2017/06/26
いのふみ
内容的にも文体的にも骨のある評論集。理解するのではなく感じることが重要だと思い定め、その硬質な文章を味わうつもりで読了。案外、冒頭で引用されている埴谷雄高の文章に惹かれたりする(笑)。
2015/04/16
なめこ
日本文学と「1968年」。それぞれが別様にではありながら1968年への類い希なる応答として小説を書かずにはいられなかった(と読むことのできる)日本の五人の作家たちが取り上げられている。この著者によって書かれたものに対しては全幅の信頼を寄せてきたけれど、やはりどの章も面白く、難解。特に金井美恵子についてのくだりは、今まで金井論的なものをほとんど読んだことがなかったせいか、とりわけ刺激的だった。
2015/09/09
e.s.
まず、サブタイトルにある「「六八年」小説論」の語感につまずく。そして、読み進めても「六八年」の概念規定について何も論じられおらず違和感を覚える。これでは、当時、ラディカルな68年論を発表し続けていたスガの単なる後追いではないか。また、本書で取り上げられた面子を見ても、いつもの顔ぶれであり(真正面から彼らを論じた事自体は貴重だが)、68年の革命性において、「父がきえた」「肌ざわり」の尾辻克彦を発見したスガの批評的優位性を感じざるをえない。
2015/10/17
林
難しい
2012/10/02
感想・レビューをもっと見る