蜂起には至らず: 新左翼死人列伝
蜂起には至らず: 新左翼死人列伝 / 感想・レビュー
nobody
敢えて言えば最悪だった。フィーリングの合わぬ、ざっくり言うと文章の下手な作家の本を読むのは苦役であり損失である。文が長い。記録なのか随筆なのかどっち付かず。『昭和二万日の全記録』を元ネタにしながら中ピ連の正式名称は「思い出せない」。通俗を滲ませ歌人らしい独特の軽妙な文体を交えながら実際にはこなれず、自身が元社青同解放派の活動家だったことから小難しい左翼理論もこなせるんだぜと虚勢を張る。売れない物書きの「生活の糧のため」(あとがき)に本を買わされては堪らない。団塊の世代を対象とした商売狙いなのは明白である。
2016/09/08
マッピー
ヤクザや暴力団といった、ある程度暴力や命のやり取りを踏まえた生業とは違って、本来は生活をよくするために集まったはずの人たちが、どうして暴力や殺人を容認するようになってしまったのか。それも内ゲバという、ついこの間まで仲間だった人の命を奪うことに、どうして加担することになるのか。純粋な正義、純粋な善のための思想が、純粋な狂気へと変貌するのは、そう難しいことではない。けど、それでも。自分が殴ったり、骨を砕いたり、ナイフで刺した人は、ついこの間まで自分の隣にいた人だ。そこまで人は、人の痛みに鈍くなれるものなのか。
2017/09/21
小野島 大
文体にクセがありすぎて、読むのはかなり苦痛。また団塊世代特有の新左翼知識・理論に通じていないと意味不明な箇所が多く、それに対する満足な説明もないので、言葉数の多さの割に得られた情報は極めて少なかった。正直、よく最後まで読んだと自分を褒めてやりたいw
2018/01/12
たんかともま
随筆とノンフィクションと評論の混血児のような本。これは死者と著者自身の鎮魂、反省の書なのだと思う。だから、著者の回想も挟まるし、恋愛についての掘り下げも、真摯な取材も行ったのだろう。『やり切った』感のなさ、未練、そういったものの総決算。だからこそ、内ゲバによる死より組織内の処刑に苦しんでいるのだろう。また、著者は死者ではなく生き抜いた側だ。生き抜いたからこその優しい視点、今だからこそ肩入れしつつも客観視できる部分、或いはできない部分の整理、それらが絡み合って産み落とした混血児。形になったことに意味がある。
2019/01/18
q_ichi
学生運動の最中、内ゲバや自殺、そして国家権力によって命を落とした闘士たちの生き様を綴った一冊。小嵐氏の独特の文体が過ぎ去りし政治の季節を鮮明に写しだしている。学生運動云々を僕の世代で論じるのは軽薄な感じがするので割愛しておきたい。読後、日本人って物事を考える力を失った民族なのかもなぁと俺は感じてしまった。ゲバ棒持って暴れることが正しいとは思わんが、考えと行動が伴う生き方をしたいと感じた一冊だった。
2010/08/19
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