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輝く日の宮 (文芸第一ピース)

輝く日の宮 (文芸第一ピース)

輝く日の宮 (文芸第一ピース)

作家
丸谷才一
出版社
講談社
発売日
2003-06-10
ISBN
9784062118491
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輝く日の宮 (文芸第一ピース) / 感想・レビュー

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NAO

表紙は源氏物語絵巻風。1章の前に0章という不思議な章があり、これは泉鏡花調のミステリー。話の中にも鏡花の『高野聖』が出てきて、話は『高野聖』と渾然一体となって進む。丸谷才一はヨーロッパでも「ジェイムズ・ジョイスの正統な弟子」と認められていたそうだが、各章ごとに文体が変わっているこの作品は、『ユリシーズ』とよく似ている。『源氏物語』をベースに日本の古典文学の知識を振りまきながら、構成面は『ユリシーズ』の流れを組み、文学とは何かをさぐる、ジョイスの弟子丸谷才一の面目躍如の艶っぽくも不思議な話。

2017/04/13

syota

表面的なストーリーだけ見れば、凝ってはいてもリアリティに乏しい娯楽小説だが、この作品の真価は別のところにある。『奥の細道』『春色梅児誉美』そして『源氏物語』という日本文学の傑作に関する大胆な見解を、国文学者である主人公安佐子の主張という形で読みやすく小説仕立てにしたところに、最大の価値があると思う。特に源氏物語は、「桐壷」の後に「輝く日の宮」という失われた1帖があったという立場に立ち、その根拠、反対論との論争、なぜ世に流布せず消え去ったのかを詳細に考察していて、読み応え十分。→

2024/10/06

かふ

『源氏物語』に紫式部が書いたのに世に出なかった帖があり、それは光源氏と藤壺の最初の禁断の関係があったのを何故取り下げたのか?また紫式部の源氏物語の物語分析もしているメタフィクション。それぞれの章によって文体が変わるのはジョイスの『ユリシーズ』に倣っていた。そして紫式部は中宮の教育係として藤原道長に雇われるのだが、作家と編集者という関係のような。その関係の中に肉体関係もあったとするのだが、橋本治批評を先に読んでいたので、紫式部が道長に従っていたというのは、ちょっと違和感を感じた。

2023/03/16

Norico

タイトルとカバー後ろの内容紹介で、源氏物語の失われた巻の秘密を解き明かすんだろうなぁと思って読み始めたけど、自作の小説あり、おくのほそ道とか時代も全然違うテキストの解釈があり、となかなか源氏に辿り着かなくてやきもき。解説読むと、こういう構造がそのまま源氏物語を写してるということだけど、難しかった。

2020/07/11

棕櫚木庵

丸谷は愛読する作家のつもりだったが,この作品は,瀬戸内『紫壺』で知った.以前読んだ『女ざかり』と似た感じ.女性が主人公ということもあるが,評論的な面白さで読ませるという点でも似ている.各章ごとにいろいろな形式を試みているが,これも評論的な面白さだろう(評論・エッセイを挿入したという形をとる章さえある).末尾に「輝く日の宮」が置かれるが,それについて主人公が自作を語るという形で説明を加えているのには笑った(「一行アキ」とか).その「輝く日の宮」は,瀬戸内の「紫壺」に比べ現代的な感じ.なぜだろう?

2017/12/16

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