旅をする裸の眼
旅をする裸の眼 / 感想・レビュー
nico🐬波待ち中
国、言語、思想等様々な「境界」を冷静に見つめるベトナム人女性の12年を追う物語。流されるようにベトナムから東ベルリン、西ドイツ、パリと転々と移り住む。ビザもパスポートも持たず身を隠す彼女の唯一の拠り所は映画。一人の女優の出演する映画を繰り返し観続ける。女優に「あなた」と呼び掛けながら。それは不法滞在のため日陰で生きるしかない彼女にとっての心の支えでもあり、声に出せない魂の叫び。映画の内容と彼女の境遇が見事にリンクしていく。時代に翻弄され続け、逃げることも出来なかった彼女の胸中を思うと悔しい。
2018/11/11
みゃお
たった一人異世界に放り込まれて 映画だけをよりどころに生き延びた少女。 何故?と思うことが 沢山あるけれど、その疑問すら価値観の違いからくるものなのだろう。 理解が及ばず翻弄されることが多いのだが、時々手を伸ばしたくなる作家さん。
2023/04/12
かず
面白かった。自分って一体何なんだろうというところに連れて行ってくれる。
2013/09/20
ユカ
あんまり理解できないのに再読してしまうのはナゼ?おそらくロードムービー的な内容がそうさせるのだろう。昔、イタリアで沈没していた時期があって、明日にはここを発たねば、旅費が尽きてしまう、と思いながらも毎日眠くて、という日々を思い出し、思い出って快感なのでまたこの本を手に取ると思う。
2018/09/20
斉藤フィオナ
不思議な浮遊感が全編に漂っていて明るいところなんて全くないし カタルシスもないけれど なぜかひきつけられて 最後はもっと主人公のそばにいて話を聞いていたい、と思った。 主人公と映画(映画館、ドヌーヴ)との関わりは私と映画とのそれに比べると遥かに切実で魂の生死にかかわっているのがひしひしと感じられる。
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