ぜつぼう
ぜつぼう / 感想・レビュー
あも
「俺は絶望しているがゆえに俺なのだ」…かつて一世を風靡した芸人の戸越。ブームが去り使い捨てられた彼は自慰のように絶望に耽りひっそりと生きている。そしてひょんなことからシズミという女性と暮らすことになり、不思議な関係性が構築されていく。絶望あるがゆえの自分であると断じる戸越は、彼女に安らぎを感じそうになる度にその思いを打ち消していく。絶望がテーマではあれど、重くはなく、むしろコミカルに軽快なテンポで進むストーリー。その辺り本谷さんのバランス感覚が上手く発揮されている。余韻を残すラストシーンも味わい深く好み。
2011/11/16
ブルームーン
電波少年的なバラエティ番組で一躍有名になったお笑い芸人。しかし人気は長続きせず、事務所もクビになり、外出する事が怖くなり家に引きこもる日々。ある事がきっかけで田舎の農家にシズミという謎めいた女性と暮らすことになり、自分ははたして本当に人生に「絶望」しているのかどうかを真剣に考えることになる。暗い内容なんだけど、たまに出てくるユーモラスな表現にクスリと笑えてしまう、不思議な作品。
2014/09/05
竹園和明
人気絶頂から奈落の底に落ち、不眠症で苦しむお笑い芸人戸越が主人公。眠れないという事がない自分にはその苦しみはさっぱりわかりませんが、かなり辛そうです。紆余曲折を経て田舎のボロ屋敷にほんわかした見ず知らずの女と同居する事となり…。この女シズミ=沈み?のキャラが絶妙。農作業の手伝いを一緒にやることとなりますが地に堕ちた戸越にとってシズミは絶好の癒しの存在となり…。絶望の縁に身を置いた人間を救うのは果たして何か。そもそも望みが一切絶たれるという事はあるのか。一気に光が見えてくるラストが秀逸!。
2021/04/09
YM
最近、本谷さんにはまって3冊目。本書を読んで気付いてしまった。あー、ぼくは本谷さんの手の上で転がされていたのかと。まさに、ぼくはここ数ヶ月ぜつぼうに酔っていた。しかし、そんなあまっちょろいこと本谷さんは知っていた。それでも甘やかすことなく、ちゃんと自分で復活する道も示してくれる。ありがたいやら、恥ずかしいやら。とにかくまた本谷本を手に取ることになるのです。
2014/10/15
アコ
いつぶりだろう?な本谷さん。なぜか数年積んでいたものを一気読み…できず。うっかり睡魔に負けて2日に分けたのは失敗。このグイグイ来るかんじや独特で強烈なキャラ、設定は勢いに乗って読み切ったほうがきっといい。(短いし。)ひさしぶりのガチ小説だなーと思いながら、そのせいか否か、どことなく表現や言い回しがクドいと感じることも。脚本っぽさもあって映像で見たいシーンもちらほら。つい脳裏に浮かんだのが猿岩石なのは言わずもがな。
2018/03/21
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