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陽の子雨の子

陽の子雨の子

陽の子雨の子

作家
豊島ミホ
出版社
講談社
発売日
2006-03-28
ISBN
9784062133685
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陽の子雨の子 / 感想・レビュー

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あじ

自分を棄てたくなって止めたくなって、胸を掻きむしった事がこれまで一度や二度じゃなかったな…その気持ちを引っ張りだして連れ回し、読了までここ(胸)で監禁した。きっと大半の人は好まないテーマの本だろうと思う。性の歪みを直視するのを拒むだろう。目隠しを解かなければ見えない本質がある。暗闇に慣れれば、ぼんやりとでも輪郭が掴める。少年の言う灰色の点々が、嵐の夜で雨に流され浮かび上がってきたもの。それは太陽なのかな。大切な人が太陽のミューズとして、胸の中心に降り立った時。雨あがる。

2014/07/21

ぶんこ

中学生の家出少年を、そのまま匿い続ける雪枝さんには、苦しむ親の気持ち、学業を中途半端にして、無為に送った後の聡君への責任を負えるのだろうか? 優しい文章の中に、無責任が居座っているような物語。 雪枝さんの誘惑にフラフラしてしまう夕陽君が、清水さんとの健全な海辺デートに行く場面でホッとしました。

2014/07/31

takaC

長期間「読んでる本」で燻っていた不良物件をようやく読了。ミホさんにしては珍しく文庫本での加筆・修正は殆どなかったようだ。つまりはじめから痛々しいお話だったということ。

2012/06/28

Lesen

年上の女性と友達になった中学生の男の子とその女性に家出した時に拾われた男の子。この三人の奇妙な関係が描かれています。夕陽と聡、対極にある二人のコントラストがより一層、口の中に苦味が広がる。雪枝と聡の倦んで倦みつかれて歪んだ関係は風通しをした方が良いと思っていました。足掻いてもがいて、出口を探していたんだと今なら分かる。雪枝と聡は可哀想で哀しい人という風には感じられませんでした。雪枝が悪趣味過ぎて好きにはなれませんでしたが、作品自体は嫌いじゃない。

2014/06/04

おぎわら

ゆっくりと時間をかけて再読。純文学の香り漂う青春小説ないし再生小説。初出は講談社の文芸情報誌の連載で単行本は06年。1冊1話の長編は5冊目にして初だった。豊島ミホ作品には自己の体験を色濃く反映するものと、全くの虚構世界を描くものと2系統あるが、これは後者。家出した中学生男子が二十歳過ぎの女性に拾われ、囲われているという特殊な世界を舞台にした。犯罪めいた設定であるが恨みや後悔はない。作者はいつも優しい目線で登場人物たちを描く。主要登場人物三者の謎めいた心の動きも後半次第にはっきり見えてくる。ラストは爽やか。

2017/05/14

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