悪たれの華
悪たれの華 / 感想・レビュー
緑の牛
ものすごく長い本だったが最後の20ページには、主人公の市郎部兵衛(始まりは友之助)の悪行に悪行を重ねて追い求め、盗み、研鑽し極めんとした華学の技術。それに連なる殺し・火付け・のっとり等の悪行。夏、波奈、清、まきの死よる苦悩。それぞれが御城をも見下ろす五百尺もの高さとなる。耳朶を震わす轟音となる。鮮やかで赤い炎の花となる。そんな夜の闇よりまだ黒く染まった市郎部兵衛が自身の黒さを叩き破るかのような花火を打ち上げた所では泣きそうになった。
2010/12/02
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