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太宰と井伏――ふたつの戦後

太宰と井伏――ふたつの戦後

太宰と井伏――ふたつの戦後

作家
加藤典洋
出版社
講談社
発売日
2007-04-24
ISBN
9784062139403
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太宰と井伏――ふたつの戦後 / 感想・レビュー

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おとん707

この本は10年以上前に入手したきり積読状態になっていた。理由は太宰も井伏もろくに読んでいないのにこの本を読んでもただ活字を追うだけになってしまうと思っていたから。井伏はぼちぼち読んでいたが太宰は長らく読んでいなかった。先日太宰の中短編11篇を一気に読んだのでその余韻があるうちにと思って読んだ。戦前戦中戦後という節目に太宰に起きた生きる姿勢への変化を追い、太宰の作品への反映を読み解いている。太宰の遺書にある井伏への恨み節は以前から謎と思っていた。本書を読んである程度分かったが著者は井伏の立場にも理解を示す。

2022/05/15

ゴロチビ

なんとかひと通り読んでみました。 あとがきに、あまりこの種の本を読んだことのない人にも手にとってもらいたい。とあり、まさに自分のような人に向けて書かれたのかな?と思う。ただ情けないことに、井伏鱒二「薬屋の雛女房」も「黒い雨」も未読であり、太宰の「人間失格」や芥川の「或る阿呆の一生」は一度読んだだけ。著者の論評の深さについて行けないのだ。太宰の最後の心中の真相については、自分は微かな疑問を持っているのだが、著者の論旨に関わるものではない。とにかく、もう何回か「人間失格」を読み込んでみないと。それから再読だ。

2019/06/17

ひろゆき

文芸評論。太宰井伏だけでなく三島も出てくるでよ。「人間失格」でなぜ最後の最後で親父が悪いとか出てくるのか、そもそも配偶者の不倫程度m(__)mで人間失格状態までいっちゃうのか(こんなこと普通なら日本は半数が廃人となる)。などなどに、もやもやしたあなた。私も同様です。そこから説き起こし、井伏さんは悪人ですなどの発言の意味を解明する本書。三人の文人の作家活動に共通して、戦争で死んでいった若者たちなどに対する痛切な思い、後ろめたさがあったことを明らかにする。特に太宰についてそのようなことがあったのは私には驚き。

2017/04/07

SATOMAN

戦後、なぜ太宰は自殺を選んだのか。井伏鱒二との関係での考察。2007年の論考プラス6年語の講演「太宰治、底板にふれる」が収録されている。 「薬屋の雛女房」など、井伏の小説についてはまったく知らなかったので、とても面白かった。芥川龍之介、三島由紀夫、川端康成など、他の文学者の自死についても興味深い。死んだ者と死ななかった者。敗戦が、どれほど文学者に影響したのか。その大きさを感じる。

2024/05/04

じめる

太宰による井伏鱒二選集後記の文章は有名であるが、そこにまつわる裏話や井伏の反応までは知らなかったので、目から鱗。師弟の絆は敬愛しているというのみに留まらない複雑なものだった。紹介されていた井伏鱒二悪人説の論文がいぶし銀な感じがあって好きだった。本書で行われる「人間失格」の「読み」自体は、自身が問題とする読み方から抜け出せてはいない気がするけれども……。男語りと女語りの問題は太宰の自身を相対化した目線であるとよく言われ、ここでも同様の指摘がなされるが、それ、本当に「女生徒」とかで言えるのか?

2014/08/18

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