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ミノタウロス

ミノタウロス

ミノタウロス

作家
佐藤亜紀
出版社
講談社
発売日
2007-05-11
ISBN
9784062140584
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ミノタウロス / 感想・レビュー

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そうたそ

★★★☆☆ 数年前に本作の評判を聞き挑戦したものの、文体と舞台設定に慣れることが出来ずその時は挫折した。今回は何とか読破したものの、やはり文章は苦手だし、横文字ばかりが並ぶ人名を覚えるのにもほとほと苦労した。その一方で、やはり傑作といわれるだけあるなと思える出来ではあったが、面白かったという感想が馴染む類の物語ではないとも感じた。革命の起きた時代が民衆の立場から描かれるのだが、そこには政治的な問題などは廃され、何か人間の本能的な部分を見せつけられたような生々しさがある。一人称も相俟ってリアルさ満点。

2015/12/30

PSV

ピカレスクロマン、とでもいうべきだろうか。善意だったり誠意だったり、良心の一切がなく、無機質無感動な人物たちが、凍えるような大地を背景に、無慈悲な無意味な生き方をしている、そんな世界観。すごくシニカル、ニヒリズム溢れる文体と、圧倒的表現により、“怪物”の化けの皮を剥いでいく過程は非常にスリリング。ミノタウロスとは、人にも獣にもなれない半端な存在、だそうだが、それ以上に、理性をもたない世界という迷宮を彷徨う存在、そこに閉じ込められた乱暴者、の意味なのかもしれない。  ★★★★☆

2012/09/05

tomi

二十世紀初頭のウクライナ。帝政ロシア崩壊後の混乱と暴力に満ちた地を舞台にした力作。地主の息子で秀才だった主人公が、果てしない暴力と殺戮に身を投じて行く様を硬質な文体で描いている。まるでロシア文学を読んでいるようで、最初は人名や相関関係を把握できず遅々として進まなかったが、中盤からはほぼ一気読みだった。凄い小説!

2023/04/27

マウリツィウス

【ミノタウロス】車輪と軍歌はえさほい、えさほいとこの戦車をひきづる。死生観などこの場では無意味だ。作者の文壇批判は実にこの「ある疑惑談」を不謹慎ながらも逆利用引用するという最重要皮肉を込めている一作。芥川賞の幻想性を残念ながらも国文学腐敗と見出したこの作家は従来にルネサンス引用が「蝕」モチーフを既に浴びる程ダンテから導き出していた事実を知っている。太陽/月がイシュタルより伝承されていることも周知でこの文学窃盗論は古代ユダヤ教の神秘主義象徴《メルカバー》をカバ、何とまあレヴィアサンだと定義する知的狡知嘲笑。

2013/05/29

uni

救いようのない物語でした。ロシア革命後のウクライナ地方の時代背景とか何一つわからないまま読み終わりましたが、なんだろ、疲れたw400ページにも満たない本なのに、1000ページぐらい読んだのではないかとゆーくらい。本当だ、他の方々が書かれている通り、これ誰が語ってんの?主人公は最後は死んでないの?どこの場面が感動とか嫌悪とか、不思議とそんな印象は残らないが、久しぶりに心の奥深い部分で感じれる重たい小説でした。こんな本は重宝。

2012/12/21

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