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そろそろ旅に

そろそろ旅に

そろそろ旅に

作家
松井今朝子
出版社
講談社
発売日
2008-03-01
ISBN
9784062141338
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そろそろ旅に / 感想・レビュー

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なゆ

十返舎一九といえば「東海道中膝栗毛」。なので、太吉とともに珍道中を繰り広げながら執筆していくような感じか?と思っていたら、一九こと重田与七郎の彷徨い旅するような半生だった。それこそ、あの代表作を書くに至るまでの長い長い物語。もとは武士から商人となり、戯作者へと辿りつくまでの。せっかく落ち着いたかと思っても、どこかふらふらと心が定まらず、「太吉、俺はもうここにいるのが辛い。そろそろ旅に出よう」となってしまうのは性分か。なんといっても太吉が、ここではそんな与七郎の影でもあり。なかなか興味深くかつ面白く読んだ。

2016/07/27

onasu

「東海道中膝栗毛」の作者、十返舎一九。  駿府奉行所の同心重田家の嫡男で同心見習いをしていたが、奉行の転進を追って大坂に向かい、一旦は家臣になるも材木商に婿入り、人形浄瑠璃の作者に名を連ねたが、心定まらずに江戸へ。  江戸では蔦屋重三郎の店に居候し、戯作を執筆、今度は質屋に婿入りするが、またも心定まらずに旅に出る。そして生まれたのが、風景描写は皆無の珍道中初編「浮世道中膝栗毛」。  新たな土地に着いた当初はいいが、落ち着くとどうにも苦しくなり旅に。いい伴侶を得たのに、はた迷惑。だが、憎めない人物でもある。

2016/07/24

なにょう

長かった。田沼意次、白河候松平定信の時代。経済・文化の中心が上方から江戸へと変わる時代。十返舎一九。武士の身分を捨て、商人、戯作者へ。その人生の変転ぶりを時代・社会背景をからめて見事に描ききる。★田沼意次、白河候。白河候は田沼時代の緩んだ風紀を取り締まる。お上の意向をものともしない、商人、戯作者。そこに革新が生まれてくるのではないか。★ただぶらぶらしているようで、二度も金持ちに縁づくとは、果報者だ。その余裕から、文筆に注力できたのであろう。

2016/08/05

あかんべ

全くの武士であった与七郎が出奔を繰り返し十辺舎一九になるまで。なってからの活躍は記録魔である馬琴の残したものがあるため、創作のし甲斐がないとしたのか?武士を捨て江戸にいくまでたっぷり書いている。昔も今もおもしろい人は、男女共にもてる。顔はお馬さんでも。けれど本人の持つ二重人格とも思わせる闇もあり面白かった。

2012/11/09

スイ

十返舎一九の話と聞いて、作品のように軽妙なものかと思っていたら、割とずっと陰鬱な上にちょっとしたホラーでさえあった…! 女性陣が魅力的なので、そちらを楽しんで読めたが、主人公は蹴っ飛ばしたい。全力で。 大阪と江戸それぞれの異なる暮らしが生き生きと描かれていたのも良かった。 一九が元々奉行仕えだったとは知らなかったー。

2018/12/16

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