新装版 山口誓子 自選自解句集
新装版 山口誓子 自選自解句集 / 感想・レビュー
ゆうゆうpanda
「悲しみの極みに誰か枯木折る/悲しいことがあった。いかなる悲しさか、ひとにはわからぬが、私のこころに悲しいことがあって、それが極まっていた。慰めるひとはなく、私はひとりその悲しみに堪えようとしていた。そのとき、外で枯木の枝の折れる音がした。誰かが折ったのだ。その音を聞いて私は悲しみに堪えられなくなった(略)悲しみの極みにいる誰かが、枯木を折った、と解する読者がいるかも知れぬ。しかし、その誰かが『悲しみの極み』にあることをどうして知ることができるであろうか。」極めて俳句的な思考。脂が乗った40代の句が秀逸。
2017/05/27
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