花合せ――濱次お役者双六――
花合せ――濱次お役者双六―― / 感想・レビュー
藤枝梅安
名題下の女形・梅村濱次が活躍する。舞台稽古で立女形の踊りを見ているうちに、知らぬ間何かが乗り移ったように踊り始めてしまい、座元に目玉を食らうところから始まる。実はこれが大事な伏線。「変り朝顔の鉢」が次々と持ち主を換えていく顛末は、歌舞伎の「お宝を巡る人間模様」を土台にしている。プロットはさほど複雑ではないが、会話をつないで登場人物の性格を巧みに描き分けている。オチは、現代人にはバカバカしいと思うような、いかにも「御都合主義」だが、そこがまさに歌舞伎らしさなのだ。架空の舞踊「翔ぶ梅」を実際に見てみたいなぁ。
2011/01/12
ゆみねこ
女形濱次が突然見知らぬ町娘に押し付けられた「変化朝顔の鉢植え」をめぐる謎を追う。中々面白く読めました。
2014/02/07
よっしー
小説現代長編新人賞受賞作。選考委員を唸らせた「殺し」も「剣豪」も出てこない新鮮な時代小説。江戸の歌舞伎小屋「森田座」の若手女形「梅村濱次」が主人公の成長譚。シリーズ1作目。濱次は才能、容姿に恵まれているが、おっとりもので怠け者。ある日、見知らぬ娘から半ば強引に預けられた奇妙な鉢植えを奥役の清助がこっそり「花合せ」に出してしまい物語は思わぬ方向へ。。 座元や師匠、茶屋の女将まで巻き込んだ、濱次の謎解き、時折見せる濱次の才能、亡くなった兄弟子「香風」の話など、後半が特に良かった。心が震えました。オススメ!
2013/09/23
くりこ
表紙にちょっと怯みましたが、濱次お役者双六のシリーズを読んでみたくて読み始めました。 女形の世界について知識がないまま読みましたが、周囲に将来を期待されているけれどあまり向上心のない濱次が今後どうなっていくか読んでいくシリーズのようです。 巻き込まれた朝顔にまつわる事件を通して町娘の気持ちをちょっと知ることができて成長した濱次の次の試練や如何に。
2015/10/15
みか
読後感としてはぼんやりした、としか言えない。主人公に感情移入しにくい筋立てで、舞台もあまり魅力がない。 とりあえずシリーズ化の前置き部分だと思えばいいか。自作も出るんだよね、きっと。 女形の濱次が預けられた変わり朝顔の花を巡って大冒険を繰り広げる…でいいんじゃないかな、要約としては。
2012/04/06
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