黒髪
黒髪 / 感想・レビュー
ちょこまーぶる
考えながら読んだ一冊でした。さわの苦難に出会いながらも貫き通す一途な愛も素晴らしいと思ったり、反面さわの行動が周りの人に対して負の影響を与えながら生きているという事も忘れてはいけないと思いました。ですが、読み進めながらさわの生き方を応援している自分がいる事も事実で、子どもを留置場の中で一人で出産し、息を引き取ってしまったシーンでは目頭が熱くなり、やはりハッピーエンドとはいかなかったけど・・・と、さわの人生に拍手を送りたい気持ちになりました。戦争は人の人生を否定して何も残さない行為なんだと改めて思うことに。
2014/06/20
りえこ
主人公の名前がりえだったり、手紙好きだったり、自分と似ているので、読み始めから好きだなと思える本でした。自分の父母の痕跡を探す物語。函館。ロシア。出てくる人達それぞれの人生、全て生命力にあふれていて素敵だと思いました。
2014/10/02
星落秋風五丈原
1930年、高田さわは函館のロシア人家庭に女中奉公に出た。そしていつしか、主人のドミトリーと恋に落ちてしまう。戦争という激動の時代の中で、国境を越え、恋に生きたひとりの女。美しく輝く愛を描いた長編ラブロマンス。
2010/03/29
さんつきくん
500p越えのスケールのデカイ恋愛大作でした。官能的な描写も嫌悪感を抱かず読めたのは、著者が女性だからだろうか。物語は現在と戦時中を行き来し、現代でりえが古い写真を手にしたことから始まる。それは産みの親と赤ちゃんの写真だった。戦時中、高田さわは亡命ロシア人の家で女給として働く。その主ドミトリーに恋心を抱く。ドミトリーには妻子がいたが、さわの恋心は冷めなかった。ドミトリー一家は憲兵の弾圧を逃れるため満州・大連へ。ドミトリーへの思いを立ちきれないさわもジャンク船で大連へ渡る。一途すぎるさわの恋心が染み入る一冊
2018/04/18
cithara
子供の頃ロシアの諜報員として深い森の中でハードな逃走劇をした夢を見た。それ以来ロシアが気になって仕方がない。ロシア語を勉強したりロシア人歌手のレコードを買い集めたりした。会ったこともない親戚がソ連と貿易を行っていたことを知って胸を熱くしたこともあった。ロシアは日本とは近くて遠い。ニュースはよく聞くけれど実情はほとんど知られていない。だからこのような本を書いてくれて、谷村さんにお礼を言いたい気分なのである。彼女がどんな動機でこの小説を書いたのかよくはわからない。お母様が函館出身であることが多少関係あるかな?
2020/06/13
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