詩集 「三人」
詩集 「三人」 / 感想・レビュー
フム
困難な時代に反戦、抵抗の詩を書き続けた金子光晴。詩集「三人」は身辺に危うさを感じた光晴が家族を連れ山梨県山中湖畔に疎開していた時の親子三人の疎開生活から生まれた。ただ一人の息子にも召集令状が届く。なんとか病気で免れたものの、子を戦争にとられる恐怖が冒頭の詩からひりひりと伝わる。「盗まれたらかへのない/たった一人きりのボコを、/ボコなくては父親が/生きて行く支えのないそのボコを/父親は喰入るやうにみてゐる。」親とはそういうものだろう。戦争にとられるなどということは、耐えられるものではない。
2017/12/15
澤水月
後に発表された作品と合わせ読むといかに光晴が「彫琢」を大事に、推敲を重ねたかがよく分かる。本書は本書で詩集として磨き上げる以前の、なまなましさがストレートに表出されており、戦時下の家族愛の高まりがよく伝わる
2008/02/20
感想・レビューをもっと見る