変愛小説集
変愛小説集 / 感想・レビュー
青乃108号
【変】な恋愛に関するアンソロジー。木に恋する女の【五月】。皮膚が宇宙服に変わってしまう病が流行し宇宙に飛び去ってしまう【僕らが天王星につく頃】。彼女の手編みのセーターから頭がどうしても出せない【セーター】。いいなあ。読みながらニヤニヤしてしまう。岸本佐知子の翻訳がキレている。どれもこれも確かに【変】な恋愛ばかり。でも、世の中の恋愛なんて傍目から見ると【変】なものばかりではないのか。当人同士はいたって真面目に恋愛してるつもりでも傍目から見ると相当、【変】。かくいう俺と俺の妻の恋愛も、相当に【変】だぞ。
2022/02/04
b☆h
愛の定義は人それぞれ。あまり恋愛小説は読まないけど、タイトルに惹かれて手に取ったら、想像を遥かに超えた愛が描かれていた。工場で動物由来の人を作っている人たちの愛、藁の夫を愛す女性、合意の上で3人で付き合うのが主流になったトリプル愛…12人の作家さんで構成される短編集で、中には読み解くのが難しいものもちらほら。川上弘美『形見』と安藤桃子『カウンターイルミネーション』の世界観が印象深かった。『藁の夫』のラストは何かで読んだことあったけど、思い出せない…。愛って何でもありなんだなぁ、と読後はしばらく放心した。
2022/10/31
kariya
異常な愛をテーマにしたアンソロジーというと「ゴーサム・カフェで昼食を」を思い出すけれども、こちらの方が幻想小説寄り。奇妙で時にグロテスク、なのに真摯で一途、という非常にユニークな意味での様々な愛の形を楽しめて、文句なしに面白い。「僕らが天王星に~」「柿右衛門の器」「母たちの島」が好き。「お母さん攻略法」は思わずニヤリとしてしまう女子が多いのでは。
2009/04/15
kana
何がでてくるかはかりしれない、びっくり箱のような短篇アンソロジー。私には理解できない変な愛の話かと思いきや、ちょっと共感できてしまうところもあり、どこからが変でどこからが愛なのか、私の愛は変でないのか、読んでいるうちにその境目わからなくなってきました。きっと、本当は世の中、変な愛だらけなのかもしれません。マイベスト3は「五月」「僕らが天王星に着くころ」「柿右衛門の器」。設定が突飛なのに、幻想的な描写で、異常な変愛のテンションを体感できます。
2011/03/19
あつひめ
変な愛と普通の愛は紙一重???いったい何が普通の恋愛なのだろう・・・もしかしたら自分がしている恋愛こそ「変」なのか???不思議な世界を駆け回ったら恋愛って何なのかよくわからなくなってきた。文章の流れが違和感がなく躓く事もなく岸本さんの訳に感心した。ホラーやSFの中にコメディタッチな「お母さん攻略法」で気分を変えて読み進めることができた。
2010/07/23
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