堕落する高級ブランド
堕落する高級ブランド / 感想・レビュー
syaori
少数の富裕層に「最高品質の製品」を売っていたブランドが、社会革命や産業革命、公民権運動などを通して大衆化、グローバル化してゆく過程と、それにより抱くことになったジレンマを追った本。作者の懐旧の念や出身階級を重んじるような書きぶりに鼻白む部分はあるものの、出版から10年経っても、まだグローバル化との反動の間で揺れているように思われる高級メゾンの様子から、作者の問題提起は古びていないように感じます。そしてまたこれはファッション界だけでなく、均質化してしまった現代社会の大きな課題でもあるのだろうと感じました。
2018/04/06
はるき
夢と憧れの的だったファッションがコピーと搾取にまみれて墜落した。王侯貴族からブルジョアへそして大衆へ広がったわけですが、安価な粗悪品が横行してしかも値段は高騰中ってそりゃないでしょ…。トレンドを作るのは時代の空気ではなくブランドの供給次第。釈然としないので、流行に飛びつくのは止めよう、出来る限り。
2020/06/26
★miya★
5年前放置してことが悔やまれる面白い本だった。内容は高級ブランドの歴史、市場主義に飲まれ堕落(=大衆化)していく現状、著者の分析する生き残るための三種類の方法など。 中間マーケットに進出した負の側面としてChav(バーバリーを着た英国のDQN)によるイメージダウンが紹介されていたのが印象的。日本では深夜のドンキのLVユーザーがそんなところか。色んなブランドが紹介されるが、エルメスとシャネルとアルマーニの一部以外は糾弾され、特にLVは大衆化の火付け役のアルノー社長中心に酷評。
2014/03/05
Humbaba
高級ブランドの成り立ちと,発展,そして現在の姿を記している.高級ブランドはただそれだけでは売れない.上手に自分たちの魅力を広告するために,ハリウッドスターなどに自分の商品をみにつけさせる.そのためのコストは大きいが,それ以上に大きな売上が得られるようになる.
2010/05/06
Uzundk
高品質であることと高級であることが、それぞれ別野道を歩み出したのは1990年頃だった。ブランドが大衆を相手にものを売り出したときに、特別なものから如何に"特別な風に見せるか"というゲームに変わったと語る。有名ブランドへの取材と歴史の掘り起こしが多く描かれているが、やや行ったり来たりで読みにくい感じはある。消費者が賢くなければ、生産者もそれに適合してくると読むべきか。今、本当の高品質はどこにあるのだろう。
2014/11/15
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