覇王の番人 下
覇王の番人 下 / 感想・レビュー
優希
いよいよ謀反が行われます。光秀の謀反には様々な見方がありますが、この著書ではまた新たな視点を置いているのが興味深いところでした。信長の天下布武の道は光秀の見つめる先ではなく、それ故に悩んだ上で謀反に踏み切る。そこには家系からくる妬みと、家康に将来の希望をかけているという姿が見て取れました。意外な人物を本能寺の変の行く末に見立てるのが面白く、光秀は確かに覇王の番人であったと思えるのです。
2017/07/24
Aya Murakami
講談社文庫歴史時代小説フェア 信長に仕える怪僧…。彼が語るには光秀も同類で人を担ぐしかできないそうな…。他人任せな能力って昔も今も周りに結果が左右されるので不安定ですよね…。日本史はセンター試験レベルの知識しかないので怪僧にモデルがいるのかは分かりませんが信長公記か何かにモデルの存在が出てきているのかも?安土城は作品のごとく金ぴかだったというのはある程度事実みたいですね。モデルモトネタの考察という趣味が広がります。
2020/10/03
藤枝梅安
明智光秀、忍びの小平太、そして光秀の娘・珠子の3人を軸に、戦国末期から江戸時代に及ぶ戦いと裏切りの物語。光秀が天海となり家康を助けた、という説を採っており、他の小説にも見られるような光秀像を描いている。本能寺の変を予見し、秀吉がその後の対策を講じていた点も既に他所で書かれている説である。この小説の特徴は、忍びの世界にも裏切りがあるという点をストーリーの重点に置き、珠子の嫁いだ細川家の世渡りの影で自分の思いを封印した珠子と忍び・小平太の最後の会話に、虐げられた人々の姿や思いを集約させている点であろう。
2011/01/02
Matoka
明智光秀はなぜ織田信長を裏切ったのか。歴史の謎にいろんな作家さんがそれぞれのアプローチをしていて面白い。覇王の番人でも、なるほど!そういう事だったのか、と納得の理由が展開されます。裏切りと欲望の時代において2人とも天下泰平の世を夢見ていただけなのに。2人とも死体が見つからないっていうのも多くの人の想像力をかきたてるんだろうな。
2019/02/05
ハッチ
★★★★★最近では光秀謀反の理由が色々な陰謀説として取り上げられているが、本書もなかなか面白い。真新しいというわけではないが、光秀の目線、歴史小説と小平太目線、忍者小説?アクションの部分があって一粒で二度美味しい小説となっている。
2017/06/25
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