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実さえ花さえ

実さえ花さえ

実さえ花さえ

作家
朝井まかて
出版社
講談社
発売日
2008-10-21
ISBN
9784062150422
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実さえ花さえ / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

錦繍衣と名付けられた鉢植えの楓(かえで)。緑葉のびっしりついた枝有れば、別の枝には燃え立つような紅葉。一本の楓の中で葉が緑から黄、橙、金赤へと色を深める幽玄な美。育て上げた女花師・理世の、新次とのけじめの言葉が染みる「実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」いわんや人間ならば・・・花のお江戸は向嶋なずな屋・樹木や草花栽培のプロ、花師の新次・おりん夫妻を軸とした、和の美に溢れた人情譚。大好きな高田郁さん『みをつくし』シリーズは映像化されたなら、みおの創作する料理が映えること確実ですが→続く

2012/05/23

藤枝梅安

種苗職人・新次と妻のおりんが植物と人を慈しみ、育てていく物語。四つの章と終章の五部構成。染井吉野を作出したといわれる伊藤伊兵衛の子孫も大切な役回り。季節の移り変わり、登場人物の人柄の記述もわかりやすい。大店のご隠居とその孫、そして誰でも名前を知っている大物まで登場し、江戸情緒豊かな物語が展開される。江戸町人の潔い生き方にほっとさせられる。新次とおりんに育てられた少年と、その幼馴染の少女の数十年後の姿まで描き、草木同様、連綿と続いていく「命」を丁寧に描いた、さわやかな感動を与えてくれる佳品。

2011/03/03

名古屋ケムンパス

なんて巧い時代小説なんでしょう。時に読者の涙を誘い、また江戸の「粋」にニヤリとさせる筆遣いは心憎いほどです。懸命に種苗屋を営む新次とおりんの若夫婦の愛と葛藤を描きながら、事情も分からぬまま預かることになった健気なしゅん吉の行く末を思い悩む彼らの姿は限りなく切なくて美しいのです。「素敵」と呼ぶ作家さんがひとり増えました。

2015/10/11

まかてさんのデビュー作。向嶋で種苗屋「なずな屋」を営む新次とおりん夫婦の物語。新次の仕事に打ち込む姿、丹精こめて育てた草木、おりんのかいがいしさ、どれも素晴らしい描写で目に浮かぶようでした。しかし、ストーリー展開が少し早すぎたかなという印象。色々書きたかったのかもしれませんが、ひとつひとつをもう少し深堀してほしかったかな。

2016/05/08

Rosemary*

江戸・隅田川のほとりの向嶋で花好きの間で評判の種苗屋「なずな屋」。花師として腕を磨いてきた新次と健気に支えるおりん夫婦を取り巻く人情味と風情あふれる 花木にまつわるとても素敵な物語。何と言っても縁あって預かることになったしゅん吉(雀)ちゃんが、とても聡い子で愛らしい。幸せそうで良かった。また、沢山の植物が出てきて花好きには堪らないです。当時から、無理な交配を重ねた新種の育苗が盛んであったり投機目的で買い求める人たちが、いることなどとても興味深い。堪能しました。

2014/11/08

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