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ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイト

作家
桜庭一樹
出版社
講談社
発売日
2008-11-21
ISBN
9784062151320
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ファミリーポートレイト / 感想・レビュー

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遥かなる想い

母と娘の放浪を描いた桜庭一樹の小説。ある意味歪んだ世界を描くのが上手な作者の真骨頂か。それにしてもママはマコ。その娘の私はコマコ・・第三者を寄せ付けないその異常な世界は『私の男』にも似ている気がする

2012/05/19

エンブレムT

五歳のコマコは握りしめる。唯一失いたくないモノを。若く美しいママの手を。それは幼い頃から続いていく呪い。ネグレストの果ての共依存という、親子の呪い。どこまでもどこまでも一緒に堕ちていく2人。地獄の一形態でありながら、なんて甘美な苦しみなんだろう。その幸福で呪われた日々の描かれ方が、とにかく印象的な作品でした。後半、コマコが『真行寺眞子』として語る「作家とはある種の、自覚的な多重人格者のことだ」という言葉も印象に残ります。これは、作者の本音なんだろうなぁ・・・。

2010/07/14

くろり - しろくろりちよ

家族の肖像『ファミリーポートレイト』。第一部母と娘の「旅」、第二部娘の「セルフポートレイト」。母はどうしようもなく娘の中に生き続け、娘はどうしようもなく母を愛し続ける。桜庭一樹の描く「家族」「血の繋がり」ってとてもとても濃い。悪夢のように。愛のように。娘が母になった時、破滅的な愛ではない家族を作ることはできるのかな。

2012/04/19

ミナコ@灯れ松明の火

鳥肌が立ちっぱなしだった。後半になってコマコが小説を書くシーンはまるで自らの命の塊を削りながら命そのものの叫びを必死に文字として絞り出しているようで、それはまさに情熱大陸で見た作家・桜庭一樹の執筆風景と重なるものだった。作家が必死で産み出したむきだしの命の叫び声は、読んでいる私の命にダイレクトに爪を立てる。もしかしたら「死」で終わらない分美しくはないのかもしれないけれど、リアルな温度を感じさせる、とても印象に残る一冊だった。

2011/08/24

sk4

海野藻屑、腐野花、前嶋奈落、白井沙漠らを見た後にこの本を開いた。主人公の名は鈴木駒子。・・?何だ?今までのような不吉な感じがしない。 それに駒子の才能を表現したのだろう、そこかしこに繰り広げられる叙情的な言葉の洪水。本当に美しくてずっと読んでいたかった。 桜庭の、もがく登場人物たちの例にもれず、駒子も自分のセカイの空隙を怒り、家畜の目、フィクションで埋め尽くそうとするが、駒子のセカイは閉じていない。歪んでいたが、母を愛した自分が在ったから。 愛は死か、絶望か、それとも方舟か。答えは確かに刻まれていた。

2013/09/05

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