富子すきすき
富子すきすき / 感想・レビュー
天の川
6編いずれもほろりと苦い。生きていれば思うに任せないこともある。想いが通じないこともある。悔恨や思い出を胸にしまって、それでも人は日々を生きていかなければならないのだと、そしてその日々はいずれもいつか愛おしくなるのだと、宇江佐さんがそっと語り掛けてくれているような気がした。親に捨てられ共に育った幼馴染みのすれ違いを描く「堀留の家」、手習いの先生と盗賊の娘の心の機微を描く「びんしけん」、禿の頃から助け合ってきた花魁を見守る茶屋の若い衆の「おいらの姉さん」…どれも好きだ。
2019/12/26
baba
再読ではあるが、たっぷり楽しめた。特に「藤太の帯」や「おもかげほろり」は心に残る。上野介は領地では名君であったとして知られているが妻子にも優しい様子が微笑ましい。時の権力者の意向で振り回された両者が悲しい。
2017/04/04
さなごん
表題作は人物関係がよく分からなくなったが吉良側の話。帯の話、堀留の家、おいらの姉さん、面影ほろり、びんしけん。どれも切ないお話だった。でも漫画や小説のようではなく、これが現実なのかもなあ。セピア色のイメージ
2015/12/06
baba
サラッと読める短編集。江戸で暮らす女性を描いているが「堀留の家」、「おいらの姉さん」の主人公に関わる男性が環境にめげず頑張っている姿にホロリとさせられました。「富子すきすき」は上野介が名君であった事は知っていたが、妻にも優しかったわかりクスリとした。
2014/09/15
コージー
江戸時代の市井の人々の物語だが、思った通りになって、はいめでたしめでたしとはならない話ばかりだった。でも人生ってこんなものかなと思わせるのは、宇江佐さんの力だなと思う。後からじんわりくる短編集。
2018/03/14
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