私とは何か さて死んだのは誰なのか
私とは何か さて死んだのは誰なのか / 感想・レビュー
ももたろう
「わたしとは何か」を、専門用語を使わず、徹底的にわかりやすい言葉を使って伝える姿勢は、池田さんらしくてとても好感が持てます。ソクラテスっぽくて好きです。それで、「わたし〈これ〉」は何だろう、と改めてわたしも問題意識を持たせてもらった。「私」とか「○○会社に勤めている○○さん」とか「▫︎▫︎さんの息子」とか「肉体」とか「脳」とか…「言葉」を使って説明はできるけど、しかし、現に、今、息をしながら、読書メーターの感想を打ち込んでいる〈これ〉は、何なのか?ということ。ここを掘り下げていく。
2016/10/16
里愛乍
初読時は、まさか自分がこんなにSF小説にはまるとは考えてもいなかったろうなと思いつつ再読。かたや太古の昔から論じられてきた形而上学、かたや科学の作り話。イメージとしてまったくの対局にあるような関係ですが、自分にとっては根っこというか、行きつく先が同じでした。「人とは何か」「私とは何なのか」当初はまだ読んでなかったから気付きませんでしたが<『私は』という意識が消滅したら>に書かれている内容、まさしくこれは「ハーモニー」のあの世界ではないですか。
2014/11/03
こきよ
自分はハイデガーやカントについて論じれる類の人間では、ないので、あしからず。訳本の限界は承知しているがアカデミックの場における哲学とは、原書を読む事に重きが置かれており(原書、原典を否定するものではないが)、敷居の高さの要因になっているのではないか。氏の言葉で「知ることより考えること」とあり、哲学とは本来、考える事なのだと再認識させられる。一介の勤め人たる自分にも、哲学することが出来るといことだろうが、やはり若年層にこそ読んで貰いたい一冊であろう。
2014/05/11
Ryosuke Kojika
再読。何故、「私とは何か」と私が問えるのか。問うてる私は私を見てる。属性によらない私自身と、現実的に生活する私。私の人生を映画として見る私。この実生活自体を、私の生活と捉えることは妥当か。多くの属性を有する述語で語ることのできる私は、本当の私とは言えないのか。しかし、本当の私を言葉で表すことができない。ただ存在するという形式でのみ確認することのできる私は、一体なんなんでしょう。ということを考えているのは、本当の私なのか、属性の私なのか。私が私を生きている。では、どのように生きる私を、私はお望みでしょう。
2020/10/27
shouyi.
著者の死後、未発表原稿と書籍未収録原稿を3つのテーマにまとめたものの1冊。「さて死んだのは誰なのか」は池田さんの墓碑銘。こうした本を読むと池田さんの死が実感され感情的には辛い。本の内容は濃淡はあるけど池田晶子は変わらず池田晶子で、心に力が湧いてくる。
2019/08/19
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