パラドックス実践 雄弁学園の教師たち
パラドックス実践 雄弁学園の教師たち / 感想・レビュー
ばりぼー
「テレポーテーションが現実に可能なことを証明せよ」「海を山に、山を海に変えられることを証明せよ」「ほんとうにサンタクロースがこの世にいることを証明せよ」…与えられた命題を見て、どんな弁論バトルが繰り広げられるのか、期待値が思いっきり跳ね上がってしまったため、実証があまりにもあっけなくて拍子抜け。前担任を退職に追い込んだクラスの精鋭なら、頑張ってもっと食いさがらんかい!「陋習を破る」「蹇諤を見守る」「勝者の綏撫」「謦咳に接する」など、辞書なしでは手に負えない単語が頻出し、国語の勉強になりました(笑)。
2015/10/30
れんこ
門井慶喜さんは好きな作家さんですが、この本は今まで何となく避けていました。読んで見たら意外と面白かった。
2023/09/27
kishikan
小学校(初等部)から大学まで、通常の教育課程に加えて、弁論技術を学ぶ教育課程がある「雄弁学園」。初等部、中等部、高等部、大学とそれぞれを舞台に、生徒と教師の間で巻き起こる難題と議論を物語りにした学園ドラマ。それぞれをつらぬく、教師間のいざこざや、学長選挙にまつわる話は、それほど物語としては興味を引く話ではないが、教師が与える難題の解説、つまり論理学と演説技術についての記述は楽しい。
2009/12/26
pom
雄弁学園…面白い設定です。日本人はディベートに弱いと以前から言われていましたが、小学生の頃から訓練すれば、雄弁学園の高校生の様に相手が誰であっても怯まずに議論する事が出来るのでしょう。ただ、国語の五十嵐先生の事は気の毒に思ってしまいました。心で味わうものは大切だと思うので。理詰めで来られても、感覚的なものは説明しにくいですね。新しい学園長や能瀬先生はバランス感覚のある人で良かったです。五十嵐先生の件はホッとしました。『道の駅』素敵な名前だと思っていましたが、そういう意味があったとは知りませんでした。
2012/09/17
ホッケうるふ
正直期待外れ。タイトルが「雄弁学園」なんだから激しいディベートによる舌鋒戦の応酬を畳み掛けるように描いてくれるのかと思ったら、提示された命題もしくは謎に回答を出したらそれで終わり。その回答に対してさらにああでもないこうでもないとやり合うのかと思えばそれもなし。作者の教養や論理展開は深いのに結局ミステリーの手法で描いたその枠内に留まった短編集だった。ただ一話と二話は生徒を見つめる教師の眼差しが清麗で図らずもホロリとさせる。三話は戦前の雄弁史、四話は詩の手法分析が興味深かったがそれだけで何もなく終わった。
2013/11/25
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