獣の奏者 (3)探求編
獣の奏者 (3)探求編 / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
「白いものが交じりはじめた髪」に時の経過を知る。イアルとの間にジェシという息子。ほっとするのは束の間。『探求編』がこんなに圧迫感に満ちているとは。一気読みできる、と思っていた。エリン、イアルを始め真王・大公、心有る人々が正しき道・己の歩むべき道を模索し煩悶してゆく。のめり込むからこそページが進まない。巻頭イアルの手記に何度も戻る。「残った人々の谷間」・〈黒鎧〉ヨハルの養子でラーザへ旅立つ楽師ロラン・〈示導者〉クリウ、と完結編へ繋がるであろう「言葉」「人物」 →コメントへ
2010/06/28
がらは℃
11年の歳月を経ても、王獣、闘蛇、真王、大公、霧の民、他国との争い、がエリン達を厳しい道へ向かわせる。大切なモノを守るためにエリンとイアルが寂しく過酷な選択を。。。光が彼らを導く事を祈りながら完結編へ。
2011/01/11
スケキヨ
終始「深い!深い!」と唸りながらページを捲りました。妻となり、母となったエリン。はからずも政治の要にいる事を悟り、自分の過去と未来、そして国の行く末を探求し出します。「自分はなんのために在るのか」との自分への問いや「自分にとっての国、国にとっての自分」を考える登場人物たち。エリンやみんなは持てるだけの勇気と不安を抱いて最終巻へ行きます。こうゆう本に出会えると物事を深くとらえる心眼を教えてもらえる気がします。
2011/01/27
ちはや@灯れ松明の火
気付けばとうに追い越していた母の享年。同じく一児の母となり獣ノ医師として夫と寄り添い生きるエリンの平穏な生活に射す暗い影。貴いものほど容易く砕け散る。連綿と受け継がれゆく生命の鎖の一部となった身だからこそ、造られた人と獣たちとの歪な関係に投げ掛ける疑問は募っていく。険しい道も濁流も乗り越える毅さを無尽蔵に与えるのは護るべき者たちの存在。掟を秘匿したまま果てる道を選んだソヨン、歴史の闇深く隠された真実を求めるエリン、正反対の選択をしつつも、我が子の未来を身を顧みず切り開こうとする情熱は生き写しだ。
2010/01/24
nyanco
母を亡くしたエリンが王獣と心通わしながら共に成長する物語であった1、2巻とは随分と趣が違う。物語のステージがぐんと広がった感じ。母となったエリンは夫と息子との穏やかな暮らしを望むが、王獣使いとしての任に忙しい。母を慕い王獣と共に育った息子・ジェシの出てくるシーンは緊迫した物語の中の救いです。さあ、いよいよ次は最終巻です。この先は、どうみても暗雲が立ち込めていそうです。早く読みたい、けれど、エリン親子と王国の将来に明るい未来を感じられない3巻の終わりに、先を読むことの怖さも感じます。
2010/01/17
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