獣の奏者 (4)完結編
獣の奏者 (4)完結編 / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
焦がれんばかりの願いを胸に最大限の努力し、煩悶の中で下す、ぎりぎりの決断。それが最悪の結果を招こうとも決して顔をそむけまいとする意志・覚悟。エリン・イアルだけでなく自ら戦いの地に臨もうとする真王セィミヤ、嫁ごうとするオリ、ジェシまでもが自ら決断し行動する。旅立ち前夜ジェシに「伝えるために、死に物ぐるいで生きぬくわ」と告げるエリン。松明の火を手渡していける人になりたいと云う願い。〈災い〉は起こるべくして起きてしまうが・・・「おまえのおかげで、わたしのすべてが報われた・・ありがとう、ジェシ」 →コメントへ
2010/06/29
がらは℃
災いの連鎖を断ち切るためにいばらの道を悲しみと苦しみと共に歩みきったエリンとリラン。どんな小さな火であっても、学び理解して子供達に伝えていかなければいけないんだなあ。そして僕らが出来なくても伝えていくことが、子供達、そのまた子供達の光にかわるんだろうなあ。エリンとジェシのもとに駆けつけた入舍ノ式のシーンが、心に強く残っている。。。涙なしでは、読めない物語だった。
2011/01/21
ドナルド@灯れ松明の火
完結編もやっぱりミステリ仕立てでぐいぐい引き付けられる。「松明の火を想像してみて。松明の火は自分の周りしか照らせないけれど、その松明から、沢山の人たちが火を移して掲げていったら、ずっとずっと広い世界が、闇の中から浮かび上がって見えてくるでしょう?」とジェシに伝える。どうしても戦が避けられない人間の性、避けられないのか苦悩するエリン。ハジャはイスラムをリョザ神王国はキリスト教を、闘蛇は戦車で王獣は戦闘機を想像させる。この作品は自然破壊を嫌い人間の戦いを無くそうとする反戦小説だった!読了後しばし感慨に浸った。
2011/07/16
れいぽ
闘蛇と王獣が闘うと…の結末は本当に切ない。人が立ち入ってはいけない領域というのは絶対にある。その禁を破ったときのしっぺ返しのような暴走は誰にも止められない。。。カザルムに訪れたヨジュにエリンは言う。「わたしには、幸せというのは大きすぎる網のような気がするのです。」「その言葉で包めば、包めるものも多いけれど、隠れてしまうものも、多いような気がします。」エリンが包みたかったのはリランなのか、それともイアル、ジェシとの生活だったのか。おそらく両方だったのだろう。最終章「エリンの木」は切なくも温かい。
2010/04/20
エンブレムT
戦いに向かっていく大きな流れの中で、それぞれが自分の最善だと思う道を進んでいきます。闘蛇編と王獣編で謎のままだった部分も解き明かされましたが、そのために自分の望んでいる幸せから遠ざかっていったエリンの生き方は切な過ぎます。物語の完成度を落としてもいいから、エリンが家族と過ごす平和な日々を取り戻して欲しかったな・・・などと思いつつ改めて表紙を眺め、寄り添うように立っている2本の木に涙しました。この物語に出会えてよかったです。。。
2009/10/05
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