葛野盛衰記
葛野盛衰記 / 感想・レビュー
巨峰
平安の京の盛衰を、それ以前からその地に根をはる多治比、秦、鴨の氏族の視線を借りながら描いた超大作。第一部ではその平安の京の成り立ちを、そして第二部では多治比の一族の血を引く平家と都人(実は秦の勢力が根を張っている)との攻防が描かれている。かってみたことのない視点からの小説でなかなか興味深い読書となった。宴の松原、糺の森、六波羅、太秦も主要な舞台としてでてきます。
2017/12/02
ケロリーヌ@ベルばら同盟
古き氏族の娘、糺の森の初代斎宮、権勢から外れた中流貴族の姫、臣籍に降った皇子の末裔。それぞれの立場と時代が異なる人物の眼を通して語られる都の起源と終焉。宮城の暗がりに、辻辻の闇に跋扈する影は妖魔か、それとも太古の神々か。篝火に一瞬照らし出されては、記憶の裳裾を曳き時の彼方へと過ぎ去る儚き人の営み。陰謀に穢され、戦火に傷つき、なお絢爛たる栄華の光輝を留める魔性の地。千年の時を経て今なお我々を魅きつける美しき京。花の香り、加茂の鎮守の森を吹き抜ける風、桂川の川の音に鎮む平安の祀り。壮大にして緻密な物語を堪能。
2021/04/25
さら
平忠盛が冒頭に登場したので平氏の物語だと思いました。ですが、第1章は大分時代が遡ったので何の話なのか分からなくなりました。結局、都の話、その土地に根付く人間の権力へ執着の話ということになるのかなぁ。 大河『平清盛』のシーンを思い浮かべながら、盛者必衰の物語を読了。
2017/01/24
紅はこべ
山部皇子(後の桓武天皇)と多治比の里の姫伽耶との出会いから物語は始まる。伽耶の住む土地に魅せられた桓武帝は寧楽(奈良)の都を捨て、平安京の造営に熱中。帝を導く秦一族と多治比の一族との暗闘、平安京を守るために生まれた賀茂の斎院、桓武帝と多治比の一族の血を引く桓武平氏の成立、その栄華と没落までを描く。物語の真の主人公は魔都平安京か。『七姫幻想』の姉妹編?向こうが文学なら、こちらは歴史、それも裏面史。祭祀、呪術、婚姻といった裏で女性が深く関わる分野がテーマ。仄かにエロティックなムードもあり。
2009/12/16
Norico
平安の都が造られるまでの物語と、それが崩れていく物語。結構分厚いので、読み終わったときの達成感がすごかった(笑)私は第一部のファンタジーっぽい方が好き。女性の持つ魔力のようなものをひしひし感じられます。平家の話も好きだけど、男性メインなせいか感情移入しまくれる人がいなかったので。多治比の一族が今どうなってるかも知りたかったかな。今度京都行った時、糺ノ森で守りのお方を探してしまいそう。広隆寺にも行っちゃうだろうな…
2015/01/23
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