烏有此譚
烏有此譚 / 感想・レビュー
ムッネニーク
2冊目『烏有此譚』(円城塔 著、2009年12月、講談社) 何が何だかわからない、というのが素直な感想である。 ジャンルとしては一応セカイ系SFということになるのだろうか?取り止めも脈絡もないような話のようであり、”喪失”と”補填”、そして”誕生”を描いた正統な純文学のようでもある。 本文にも匹敵する大量の注釈が空白の多い物語を埋める。その注釈の配置にも仕掛けが施されているという、ハイコンテクストな小説である。作者はちょっとどうかしている。 〈それで、何ともなるわけではないけれど〉
2024/01/09
榊原 香織
意味わからない(無意味?)ながらも面白かった。 部屋の汚さとか穴の考察とかがだらだら続く。 本文下部の注はそれはそれで話が続いていく。ちょっと変わった形式。 私的にはこの人をSF作家として捉えているのだけど、案外純文学?
2024/06/21
さっとる◎
眼前の道らしきを道なりに行く。なんかどうにかならないかしらと叢をかき分け新たな道を作ってみる、横に聳える塀を力づくで壊してみる。そんなでは脳みその外側になんて出れっこないのだ。あなたには落ちているパン屑を無視する権利がある。それは兄妹が落としたやつだ。ヘンゼルとグレーテルだ。そう、悪い狼が彼らを…は赤ずきん。そのパン屑目指してでっかいファルコンが飛んでくるから、ついでに乗っけてもらって飛んだらいい。出鱈目に飲み込まれ灰に埋もれながら色々間違え更に間違えることしかできない諦めの悪い、そんな私である穴のお話。
2018/09/20
紅はこべ
本作が初円城。タイトルはあり得ない話、バカ話という意味だそう。注付きの小説といえば、『青白い炎』や『紙葉の家』と言った傑作が思い浮かぶが、本作はむしろ『中二階』に近い?より抽象的だけど。要約しにくいが、灰に降り込められた部屋で、降り積もった灰に開けられた人の形の穴、或いは自己をそう認識している人物の内的独白。生粋の理系作家による幻想小説。私は未だかつて円城塔をきちんと読めたことがない。これからも恐らく無理。
2010/03/26
しろ
☆6 これが円城ワールドか!?こんなのは著者にしか作れない気がする。そして「本」だからこそ出来ているとも思う。その二つを感じさせてくれるだけでも一流と言えるだろう。とはいえ、作品は理解しきれなかったと思う。上段の小説と同じくらい下段の注釈にページを割いている構成に面食らって、どう読めばいいのか分からないうちに、あれよあれよと終わってしまった。小説の内容なんか全然入ってこなかった。注釈はむしろエッセイになっていて面白い。本文よりも注釈の方が面白いという稀有な一冊。
2011/01/08
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