現代霊性論
現代霊性論 / 感想・レビュー
寛生
【図書館】内田自身が最後に面白かったと言っているが、本当に面白かった!内田がレヴィナス宅にユダヤ教の安息日に迎えられた折、本にサインをするのを断られたという話が、何とも印象的。彼らが安息日には字も書かないなんて知らなかったし、レヴィナス自身が守っていたとは!安息日を守ること、聖典を読むこと、つまりユダヤ教によってどんなにユダヤ人が世界各地にちらばっていても、その民族性を保ち続けることができたかという話も記憶に残る。靖国問題から食、細木数子まで実に面白い。哲学者として内田がこういう分野を触発した勇気に賞賛!
2014/10/10
ヨミナガラ
(内田樹)“フッサール現象学だって、僕は幽霊学だと思っている。〔…〕地上最後の一人〔…〕その人が日本人だったら「オレが最後の一人か……」とつぶやくでしょう。〔…〕日本語で独白する。というのはそのメッセージを聴いて理解する「人」を想定しているから。地球上に一人も人間がいなくなってもそこにいる「人」、フッサールはそれを「他我」と呼ぶ。現事実的には存在しないけれど、現象学的には存在する。それを「幽霊」って言うんじゃないんですか?/本物の哲学者はみんな死者と幽霊と異界の話をしている。というのが僕の持論なんです”
2014/05/27
p.p.
目から鱗がポロポロ落ちて前が見えなくなった。めちゃくちゃ面白いです。内田・釈両先生が大学院で行った講義録。学生向けなので各論点は深まりませんが、その分あっちこっちつまみ食いしてお得感大。「こんな視点があったのか」とか「この考え面白い」とか「こう解釈すればよかったのかも」がいっぱいありました。「宗教?うさんくさーい」って人ほど読んでほしい。
2011/05/14
遊々亭おさる
神戸女学院で行われた両氏による講義というのかトークセッションを纏めた一冊。普段は神も仏も意識しない、すなわち無神論者である僕もX'masにはケーキを食べ正月には神社へ詣で、テレビで今日の運勢に一喜一憂する。生活の中で宗教的なものは意外と身近にあるもの。切っても切り離せないものならば、せめてカルトの罠に嵌まらずに霊的なものとお付き合いしたいところ。講義内容は多岐に渡るが民間宗教者(拝み屋さん)の在り方は介護の援助技術に応用可能か。言霊の呪いに縛られないために投げる言葉、受ける言葉は慎重に。でもプラス思考でね
2014/09/05
NICK
ある種の宗教は神に祈ることで病が治ったり世界が平和になるということが信仰されているが、そんなことは全くナンセンスとしか言いようがないだろう。病気を治したいならいるのかいないのかわからない神なる存在をアテにするより病院に駆け込んだほうがマシである。……しかし一方で人間は宗教的な存在でもある。そうした迷信を信じることで人間は個人や共同体の安定を得てきた。ナンセンスはナンセンスではないのだ。内田樹の宗教観は好きではない。が、やはり納得させられるものがある。何らかの物語にコミットしなければ人は生きてゆけないのだ
2014/02/01
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