ちゃんちゃら
ちゃんちゃら / 感想・レビュー
紫 綺
かなり以前から読みたかった本。「空仕事」・・・いい言葉だねぇ。施主の希望をかなえる庭を創造する庭師のちゃらが魅入られた職。盛り沢山な展開で、結構楽しめた。ただ、この表紙絵からもっとコメディ的なお話かと思いきや、結構シリアス。好きな絵ではあるんだけどね。
2014/02/09
文庫フリーク@灯れ松明の火
「土がむき出しになった土地に石を組み、水を引いて草木を入れると、そこに風景が生まれるのだ。吹く風が変わる。鬱蒼と繁った土地は木々を刈り込み、下草を整理してやるだけで、赤子が笑い出すかのように明るくなる。その地が生まれ変わる」頼るべき親も住む家も無く、山猫のような身の軽さで食物をかっぱらい、気の強さだけで生きてきた幼き浮浪児。「空に近い場所で働くから、庭師の仕事は空仕事だ。お前、空仕事をやってみろ」植辰の辰蔵親方に拾われ、口癖の「ちゃんちゃら可笑しい」から「ちゃら」と名付けられ、職人の技を磨くちゃら。→続く
2012/05/27
優希
庭師・ちゃらの成長物語がどんどんスケールが大きくなりながら描かれているのが面白かったです。浮浪児だったちゃらを拾った庭師・辰蔵が気風のいい親方で、その庭作りには思いやりが感じられました。娘お百合のちゃらへの恋心も切ないし。因縁の対決が江戸の人々を混乱に陥れて行くのにはハラハラドキドキさせられました。後半はこの先どうなるのか息を飲む展開が待っていましたね。騒動の一方で再度ストーリー的な話があるのも楽しかったです。中身も濃いし、ちゃらは魅力的だし最高です。
2015/03/17
藤枝梅安
「実さえ花さえ」に続く第2作。デビュー作よりもスケール感と動きが増し、飽きさせずに読ませる。読者をどこまでも楽しませてくれる名作。主人公の「ちゃら」本名も年もわからない浮浪児だったが、千駄木の植辰の親方・辰蔵に拾われ、辰蔵の一人娘・百合と姉弟のように成長してきた。植木の仕事を「空(そら)仕事」と呼び、誇りを持って修業を続けている。辰蔵は若いころ京都で修業し、妻をめとり、百合を得たが、妻を病気で亡くして以来、男手ひとつで百合を育ててきた。辰蔵の京都の修業時代の因縁が後に思わぬ事件のもとになる。
2011/03/06
nyanco
デビュー作がとても良かったので楽しみにしていた新作。ちゃらを含め植辰の面々のキャラがとても良い。植辰の庭仕事の素晴らしさ、庭に対する面々の思いや、下町の人々との話、尼僧院のくだりも実に良い。お留都さんへのちゃらの切ない想いや五郎太の男気…に胸打たれる。ただ、嵯峨流正法家元・白楊のくだりは…残念。白楊の設定は面白いのだが構成がどっちつかずになってしまったのが惜しい。白楊絡みの大きい話と庭師の話を比較すると断然、庭師の話の方が面白い。でも新人さんは思えぬ巧さ、次も楽しみにさせていただきます。続→
2010/10/11
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