感染宣告――エイズなんだから、抱かれたい
感染宣告――エイズなんだから、抱かれたい / 感想・レビュー
すこにゃん
HIV感染を宣告された当事者や恋人や家族のドキュメンタリー。かつては死病とされたAIDSですが、今は発症前にコントロール可能な感染症となり、感染者が妊娠しても母子感染をほぼ回避する方法が確立されているんですね。医療側も感染者には多職種のチームで本人や家族のメンタルも含めてサポートしており頼もしく感じました。妊娠した女性はまずHIV検査を受けさせられますが、もしあなた自身が、またはあなたの配偶者が陽性と出たら、いったいどう思いどう行動するのでしょうか。打ちのめされる人々に希望を与える本であって欲しい。
2013/09/11
nyaoko
エイズについて、自分は正しい知識があるのか?この本は今一度、それを考えるきっかけとなった。エイズは不治の病、それはもう過去の言葉となった。今では投薬治療によって発症を抑える程までに医学は進歩している。しかし、HIV感染者となった人の精神的な支えは?家族は?大きく変わったのだろうか?感染者となった人達のエピソードはどれも辛く苦しい内容だった。家庭のある男性の話は特に妻側の心中を思うと辛すぎる。
2019/02/14
ころりんぱ
エイズは主に性交によって感染する病気と認識されているから、感染者の苦悩が始まる…ということは理解できる。非加熱製剤で感染した血友病患者の訴訟が大々的に報道された時、「国によってエイズにさせられた悲劇の人たち」と「同性愛や不特定多数の相手との乱れた性交」によってエイズに罹った人たち」という、区別をしてしまったのは私だけではないと思う。この区別が差別を産むんだけど。本に登場する感染者や関係者の例はどれも厳しい現実なのだと思いながら、まだまだ自分の身の回りに起こることとして想像できない…というのが今の気持ち。
2015/03/22
たまきら
読み友さんの感想を読んで。石井さんの文章はすごくリアルな描写が多いのでビクビクしながら読み始めましたが、あまりの切なさに途中、迷子のような彼らをみんな抱きしめたくなりました。いま、日本でエイズが増えている理由は教育不足。陽性と言われた人々は社会の被害者であり、加害者にもなりうる恐怖に怯え孤独を抱えています。こういうルポを中高生用に出版してほしい。
2023/10/27
読特
血友病の薬害、性的マイノリティ間での奔放な性交渉、風俗でのアルバイト。感染の原因は様々。診断されることは死の宣告ではない。投薬を続ければ日常生活を営むことはできる。…妊娠により女性の感染が発覚した2組のカップル。運命をわけた男性側の反応|同性愛を隠してよき夫を演じてきた男性。自らの感染発覚後の告白。妻が受けた衝撃。二人は父と母として生きていく|薬害被害者の男性に献身する女性。父の結婚反対の中、子が宿る。そのとき男性は他の女性と…運命を変える感染という事象。宣告の後も時は流れる。それぞれの人生を刻みながら。
2023/09/20
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