盤上のアルファ
盤上のアルファ / 感想・レビュー
utinopoti27
第一線の事件記者から左遷され、将棋担当で燻る秋葉と、プロ棋士への夢破れ、社会にも適合できず腐る真田。本作は、二人の人生の奇妙な交錯を軸に、真田の夢への再挑戦を熱く描く作者デビュー作です。クセのある脇キャラたちを絡ませながら、ストーリーに破綻なく、そこそこ上手くまとまっていると思います。ただ、どうしても団鬼六の「小池重明」や、大崎善生の「聖の青春」と比較してしまう。地獄の深淵を覗き見るが如き極限の緊張感だったり、魂を削る勝負がもたらすカタルシスを、この作品に求めても仕方ないのは理解しているんだけどね。
2018/09/03
ウッディ
地方新聞の記者で文化部の将棋担当に左遷された秋葉と極貧生活からプロ棋士を目指す真田はいずれも33歳。アクの強い二人が出会い、ひょんなきっかけで同居を始める。将棋のルールもわからず、自暴自棄になる秋葉も、将棋とだけは真摯に向き合う真田の姿を目にし、将棋に引き込まれる。「盤上の向日葵」「聖の青春」とは一味違う将棋小説で、"くせがすごい"登場人物と軽いのりに違和感がありましたが、会話のテンポも良く、静さんってあの人だっただというサプライズもあり、これまで読んだ塩田さんとは雰囲気の違う小説を楽しみました。
2018/08/23
yoshida
新聞記者の秋葉は文化部に左遷となる。興味のない将棋や囲碁の世界。秋葉は仕事への情熱を失っていく。女流棋士のタイトル戦で将棋に興味を持つ秋葉。秋葉はプロ棋士を目指す真田と知り合う。頼れる肉親も知己もなく、職も失った真田。三段リーグから脱落した真田は最後の機会として編入試験に挑む。将棋以外に何もない真田の覚悟に触れるうち、秋葉の仕事への気持ちも変わる。何かを成したい。何かを得たい。人生は様々な勝ち負けの積み重ねとも言える。努力で実力を高める。実力が拮抗すれば結果を分けるのは覚悟なのだろう。熱量のある良作です。
2019/10/22
いつでも母さん
これが塩田作家のデビュー作だったんだぁ。多少突っ込みどころもあるもののデビュー作とは思えない出来!会話にテンポがあって楽しく読める。秋葉ちゃん、静には私も騙されちゃったよ。まだまだです(笑)タンクトップはそうだったのね。そう思うと褪せたタンクトップの真田がちょっと眩しく見えた。今、藤井聡太四段がいて羽生永世七冠がいる華々しい世界に見えるが、現実は厳しい世界なのだろうな。だからこそ盤上に何が、どんな世界があるのだろう。静謐な中に駒を打つ音が聞こえてくるようだ。ここからだ、がんばれ真田。
2017/12/15
ダイ@2019.11.2~一時休止
デビュー作。将棋の騎士と新聞記者の物語。濃いキャラ満載ですごい人生ですなぁ。
2017/12/02
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