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末裔

末裔

末裔

作家
絲山秋子
出版社
講談社
発売日
2011-02-01
ISBN
9784062167376
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末裔 / 感想・レビュー

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さてさて

『富井家の末裔は堕落した。俺だけじゃない、日本中の知識人の末裔が堕落したのだ。だが、それはなぜなんだろう』。『末裔』という普段あまり使わない漢字二文字を書名に冠したこの作品。そこには『定年が見えて』きた一人の公務員が体験する不思議な日常が淡々と描かれていました。『消える鍵穴なんて聞いたこともない』というまさかの不思議世界を舞台にしたこの作品。その一方で『家族』に絶妙に焦点を当てるこの作品。夢と現実を行ったり来たりする摩訶不思議な物語世界の描写の中に『鍵穴』が消えたことの意味を深く考えてもしまう作品でした。

2023/03/20

けい

家に帰り着いた定年前の男が、カギを取り出し自宅に入ろうと思ったら鍵穴がなくなって入れない。そんな所から物語が始まる。主人公の省三は妻を亡くし、家族もバラバラ。そんな彼が出会う梶木川乙治という人物、出会いをきっかけに周りで起こる不思議な出来事。そんな中で自身が自覚していく受け継がれてきた血脈、そして彼自身がその末裔であること。ルーツを辿ることにより、彼自身に生まれてくる活力。読んだ私自身も末裔であることを自覚し、頑張らねばと思わせてくれる作品でした。

2014/04/09

ゆみねこ

絲山さん、初読み。何とも不思議なお話でした。妻を亡くし、子供たちも独立し、歳老いて認知症になった母親を施設にあずけている地方公務員の省三。ある日仕事を終えて家に帰ると、あるべき場所に鍵穴が無くなっている…。誰もが誰かの末裔であることを思い起こさせてくれますね。物語の終わり方も中々好みでした。他の作品も読んでみたくなりました。

2014/07/22

クリママ

役所勤めの在感の薄い親父。子供は既に家を出、妻を亡くし、1人暮らしの家はゴミ屋敷状態。いつも通り家に帰れば、鍵穴がない。入れない。現実のような悪夢のような不思議な世界。鎌倉、佐久、秩父、小金井など、ちょっと地縁のある場所ばかりで親近感がわくも、読んでいて地に足がついた感じがしない。「一族っていうのは、普段は子供が増えていくように思っているんだが、逆に自分の側から、さかのぼっていくと、…むしろ祖先の方が、無限に、増えていくんだな。」などと核心を突く言葉が出てくる。皆、誰かの末裔。変な物語だが、嫌いじゃない。

2023/06/17

アマニョッキ

よかった。そこはかとなくよかった。家に帰ったら鍵穴がない。冒頭からのびっくり展開に、この先どうなるのかと最後まで一気読み。ああもう、笑っちゃったし泣いちゃった。犬嫌いなのにやたらと犬に遭遇するし、犬種にもやたら詳しいのが面白い。イングリッシュセッターもボルゾイも検索しちゃいました。映像化も見てみたいな。乙は荒川良々がいいな。

2019/11/27

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