八月の犬は二度吠える
八月の犬は二度吠える / 感想・レビュー
kinnov
暑苦しいほど濃密な仲間なんていなかった。片田舎の街で、東京に憧れて地元を心底恨んでる奴は浮いていた。だから主人公の気持ちがわかると同時におめーは恵まれてるんだよと思いながら読みきった。10代の後半、二十歳になる直前の馬鹿馬鹿しさを共有できる「アイツ」のいない私には二度めの犬焼きにかける情熱は、共感できるものではなかったが、グダグダと自分が何かを作る側だと無根拠に信じながらも、何も形にできない苦しみや自意識はまるで自分自身かのようで共振した。今あの瞬間に戻ったら、次は彼らのような友情をものにできるだろうか?
2017/12/28
風里
五山の送り火を茶化しているのだとしたら、それは随分と失礼なお話。 阿呆な男子たちではあるが、若さ、夢中、情熱、息抜き、心の機微がうまくはまっている。 女性作家さんでは絶対に描けない一冊であろう。
2018/11/26
八百
言わずと知れた第三舞台、小劇場のカリスマの本を見逃さずにおれようか、ひったくるようにして借りて貪るように一気読み。やっぱりいいのだ、あの激動の時代を知っている者にとっては感涙ものの青春グラフティ。屋上スナイパー、1万発のロケット花火、そして大文字送り火への冒瀆ともとれる無謀な挑戦…それら全てが若き日の自分にシンクロし感涙ものの活劇はやはりこの人ならでは。腹を抱えて笑った、人目憚らず泣いた、そして手放しで感動した…オレらの青春はまだ終わっちゃいないぜ!と思わせてくれるいい本です。但し中高年限定ね(爆笑)
2014/05/04
puu
鴻上尚史、小説は初読。やはり才能あふれる人で、物語に引き込まれて珍しく一気に読んでしまった。感情を揺さぶる言葉があり物語があった。また鴻上の他小説、エッセイなどを読みたいと思った。
2017/01/14
ろこぽん
本当に悩んでいることは抱え込んでしまう。名言だわ。 昔言えなかったことが大人になったら素直に言える関係、楽しかった記憶ばかりではないけど、うらやましく思えます。 登場人物みんなの個性がちゃんと書かれていて、到底理解できないような登場人物の気持ちにもなれるし、鴻上さんは私よりだいぶ上ですが、いろんな思いがごちゃ混ぜになって胸がキューンとなりました。 八月の犬通信、好きだー
2024/11/05
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