絶望の国の幸福な若者たち
絶望の国の幸福な若者たち / 感想・レビュー
ヴェネツィア
出版当時(2011年)は、弱冠26歳の新進気鋭の社会学者による日本社会論。既存の資料によりながらも、それを独自の視点から(もっとも、それはまた本来は常識的な視点であるのかも知れないが)読み解いてゆく力量はなかなかのもの。結論からすれば、それ(現代の日本と、若者たち)はあたかもSF小説が描くディストピアのごとき観を呈している。すなわち、日本の未来は中国なみの階級社会なのである。「一部の『一級市民』が国や企業の意思決定に奔走する一方で、多くの『二級市民』はのほほんとその日暮らしを送る」といった。本書が警鐘⇒
2018/11/24
mitei
著者がこの本で一気に人気が出てたように思うが、本書の効果は社会的にはこれまで若者をサルとか馬鹿呼ばわりしていた言説が消えたというのも後から見ると思う。昔から今まで若者に対しては都合よく自分たちのイメージで解釈されてきたのだと思うが、これからは若者を区別する仕切りがないというのは確かにそうだな。 絶対的な貧困はそこにないし、あるとすれば年寄りの金持ちと比べて相対的に貧しいレベル。 この中で危機感というのは本書が世に出て10年近く経っても変わらないと思った。今でも面白く読めた。
2021/08/16
扉のこちら側
初読。2014年192冊め。著者は一学年上になるのだが、同世代が小説家としてではなく学者として本を出すような年代になったのだなと、自分の年を痛感。私の世界は職場と図書館と読書がほぼ全てで 、本書の通り小さな世界でそれなりに幸せに生きている。もしもこの国で戦争が始まったら私はどうするのだろう。
2014/03/16
harass
文庫版を読みたかったが見当たらずこの単行本版を借りる。若者とされる著者が戦前からの日本の若者論、世代論からを総ざらいしおかしな所にツッコミを入れまくる。『「最近の若いものは……」と古代の遺跡に書かれていた』というのは都市伝説だそうだ。そして、現代日本の社会変化で割を食うはずの若者たちは今の状況に満足しているという(アンケートから)、奇妙な現状を考察。正直散漫としているのだが読み物としてなかなか楽しめた。著者はまだ博士号を取っていないようであるが、着実に文化人タレントとしてキャリアを積んでいくのだろう。
2017/11/17
団塊シニア
筆者は冷めた目であるが若者の代弁者の感じはする。団塊の世代に対しては厳しく、若者に席を与えるような社会、そして国が少子化対策に本気で取り組むことを提言してる。ただ20代の若者の満足感は高いが30年後は厳しいと発言してる。社会保障についても持論をもっており、古市氏のような若者がメデイアに出ることは歓迎すべきことと思います。
2012/05/22
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