傷痕
傷痕 / 感想・レビュー
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図書館*夜明けの黎明小説*突然この世を去った、世界的なキング・オブ・ポップ。彼は世界に愛された、だが・・・。遺された愛娘をめぐり、大人たちの欲望と思惑が交錯する。最愛の人を失い傷ついた少女の悲しみと回復、そして再生を丹念な筆致で描き出す!?――愛娘に『傷痕』と名付ける親って…と、思いつつ読了。ただ、世界的なスターも人の子…娘が、家族が、世間の陰でこんな風に悲嘆にくれていたのかもしれないと想うと遣る瀬無くも切ない。 ⇒続き
2013/10/16
くろり - しろくろりちよ
出版されたのはマイケル・ジャクソン死後。作中で同じく一世を風靡したポップスターの死。真偽は問題でなく、彼がどのように生きどうあって欲しかったか…同じ時代を生きた人、死後に彼を知った人へのメッセージ。残されたされた人々…その中でも仮面を付けどこから来たのか判らない「傷痕」という名の彼の娘。彼亡き後普通の少女に戻った傷痕には、父が与え育てた以上の沢山の未来が残されている。父が愛した彼女はこれから、父の居ない世界を生き行く。それが当たり前の希望に満ちたものであるよう、「傷痕」がいつか癒えるように。
2013/01/08
ひめありす@灯れ松明の火
桜庭一樹には、あちら側へ渡れる人と渡れない人、が登場する。あちらへ辿りつきたくて、見えぬ壁を叩き続けて罅割れた硝子の傷跡、自分の掌の傷痕。色眼鏡なしでは見えぬあまりに強すぎる光のキングオブポップ。太陽の子供達の昼の帝国の廃墟を塒としたが、そこにさえ彼に光は強すぎた。彼はもっと強い光、太陽になってしまった。ハムレットの亡霊の様な三人の母親候補、牡ならば美しくなれたはずの姉。孔雀。弱点であり強さの証の傷痕。残された女達は眼鏡を外し、生の血の滴る傷痕を晒して自ら歩み始める。光の中。消せやしない、秘めた血潮の華。
2012/04/28
ちはや@灯れ松明の火
貴方が世界に刻みつけた爪痕が今尚疼くから。頭上で輝く、けれど肉眼で直視することは叶わない太陽に似て、その姿も歌声も、すぐ傍に在るようでいて何処よりも遠い。貴方が投げ掛ける眩い光を貪り浴びて、貴方の胸に虚ろに染みた黒点に気づくこともなく、突然の死が宴の幕を下ろした。途切れた御伽噺。私たちは貴方が刻んだ足跡を辿る。王の仮面の下に隠された迷い子の素顔、魂が還る場所を求めて造られた楽園、醜聞の海を当て所なく揺蕩う。噂はやがて朽ち果て、神話へと生まれ変わる。貴方が遺した傷痕を抱いて、私は楽園を後にする。明日へと。
2012/05/10
くりきんとん99
私が読んだ桜庭さんの作品で一番好きかも。キング・オブ・ポップであるカレが急死した後、その彼への想いをいろんな形で読むことができた。この彼のモデルはおそらくあの人。あんまり好きじゃなかったあの人のことを見直したくなる。謎の部分は多々あったけど、大満足な一作。それにしても桜庭さんの作品の登場人物って変わった名前ばっかり。キライじゃないけど。
2012/01/25
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