海賊とよばれた男 下
海賊とよばれた男 下 / 感想・レビュー
遥かなる想い
下巻は戦後すべてを 喪った状態からの復興を 描く。石油を視点に 私たちが知らない時代を 教えてくれる歴史経済小説 としては白眉の物語で、 欧米メジャー「七人の魔女」 との闘いに引き込まれる。 鐡造たちが、苦難に追い込まれた 時に、必ず現れる救世主がドラマを 見ているようで…イギリスの 封鎖に対し 「日章旗丸をアバダンに送る」と 決断したシーンが心に残る 怒涛の下巻だった。
2014/02/16
mitei
最後は大往生で、主人公国岡鐵造の生涯を余すことなく描かれていた。特にメインの日照丸事件でのイランとの遣り取りは凄かった。このような日本人がいた事を余り知られてないのは逆に驚いた。そして日田さんの最期に最大限の恩に報いるようにあの手この手と動いた鐵造、知り合いにポンと6千円の大金を投資出来る日田さんがそれぞれ凄いなと思った。昔はそんな風に惚れ込んだ人物に全財産を投じる人がいたのかと驚くと同時に如何に今の日本人が自分のことしか見えてないなと残念な気持ちにもなった。
2015/12/11
射手座の天使あきちゃん
敗戦後の復興を支えたのは熱いハートの男たちだったんですねぇ! イギリス海軍の脅威を物ともせずイランから原油を運んだ日章丸の新田船長と乗組員たち、徳山製油所を10か月で完成させた東雲や関係者、そして時々に常識を超えた融資で事業を裏から支えた人々 プロジェクXが何本も作れそうなお話から国岡鐡造の「人生哲学」を読み取ることができます いやぁ、波乱万丈、孤軍奮闘・滅私奉公・国士無双・面目躍如の物語でありました 読みごたえありです! (^_^)V
2013/05/11
くろり - しろくろりちよ
敗戦後から復興を遂げ、高度経済成長期へ入る日本。国岡鐡造率いる国岡商店は石油を求め、アメリカのメジャー「七人の魔女」と真っ向からぶつかり合う。日本国復興のため、アメリカの傀儡となることを拒否し、アバダンの石油を手に入れるため巨大タンカーを造り上げる。タンカーに製油所、鐡造がたった一代で創り上げた物のなんと巨大なことか。しかし本質は物ではなく人にある…生涯信念を貫き通した豪傑の歴史。晩年、静かに歴史から去って逝く人々は、人生でもって次の世代に語りかける。「鶏鳴とともに東海の空に曙光がさしはじめている」。
2014/03/07
文庫フリーク@灯れ松明の火
孟子曰く『至誠、天に通ず』(真心をもって接すれば、それは天まで通じ必ず人を動かす)国岡鐵造は「大」至誠の人である。ゆえに凡夫には、その言動は理解の範疇を越え「無法」に見えてしまう。この物語のハイライトは、イギリス及び石油メジャーの思惑に逆らいイランから石油を運ぶ「日章丸事件」にある。日章丸が拿補、もしくは事故を装って撃沈されれば倒産は確実。時に国岡鐵造67歳。故・隆慶一郎氏は作品内で「余りに無法ないくさ人は、天これを愛す」の意で『無法、天に通ず』と書かれた。国岡鐵造という、一人の傑物だけで可能な→
2013/01/14
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