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雲をつかむ話

雲をつかむ話

雲をつかむ話

作家
多和田葉子
出版社
講談社
発売日
2012-04-21
ISBN
9784062176309
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雲をつかむ話 / 感想・レビュー

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KAZOO

とりとめもないというのでしょうか、最初は少し事件らしさを感じさせる導入部分があるのですが、読んでいるうちに何かほわっとした感じで物語なのかあるいは現実なのか境界があいまいになります。この作者のうまいところであると思います。いつも騙される感じがするのですが、それでも読んでしまいます。

2017/04/09

どんぐり

「人は一生のうちに何度くらい犯人と出遭うのだろう」に始まる、多和田さんの犯人と出遭った実体験の話または妄想かとも思える創作。ジャンルでいえばエッセイ風小説。頭の中で膨らんでいく妄想に実際にあった話が交差する、つまり雲をつかむ話である。長距離の国際便の機内で、「隣にすわった男が人を殺したことがある可能性は意外に大きい」と、乗客の一人ひとりを観察し、値踏みする第11章がいちばん面白い。「まわりの人たちのドラマをすべて捏ね上げてしまったあとで、実はどの話も妄想ではなくて実際にあった話」という不思議な小説である。

2019/01/07

(C17H26O4)

これです。このラスト。またわたし、ぽーんとどこかに放り投げられて、まだ戻って来られません。そもそも最初にどこにいたのかも分からないのだけど。多和田さんの言葉の集合はつかめない雲。雲の中で迷子になる戸惑いを楽しんでいると、急に雲間に光るようにとても素敵な表現が現れて、わずか一瞬わたしをリアルな感覚に引き戻す。はああっと息がもれてしまう。そして気づけばまた雲の中に。とても豊かで楽しい読書時間。雲蔓式多和田マジック。

2019/04/09

mii22.

多和田さんには本当に翻弄される。いつもいきなりやってきて掴まれる。さんざん心を乱しておいて気が付けば置いてきぼり。あっちへぽとん、こっちへぽとんと落とされる。私の出逢った犯人たちは実在したのか、妄想なのか、夢?..ふわふわとした、まったく雲をつかむようなお話だ。どんどん不穏な空気に包まれていくのに、どんどん引き込まれてワクワクドキドキ気持ちは高鳴る。そしてやっぱりぽーんと放り投げられた。一瞬凍りついた心もしだいに溶けてゆるみニンマリするのは私なのか多和田さんなのか。またもややられてしまった!

2018/09/01

クリママ

「人は一生のうち何人くらい犯人と出遭うのだろう。」という一文から始まる、犯人と出遭った話。作者自身の体験か、エッセイかと読み始める。作者の自宅に男が本を買いに訪れたこと、ハーバード大学でルームメイトだったベニ―タとマヤのそれぞれの言い分など、部分部分はとても興味深く面白く読んだが、時系列が前後し、話が飛び、全体をうまくつかみきれない。結末に向かい気持ちが高揚していくものの、私には、雲をつかむような話だった。

2018/08/10

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