嵐のピクニック
嵐のピクニック / 感想・レビュー
風眠
シュールで毒っ気たっぷりで、どこかユーモラスで悲しげで、不条理コントみたいなSFみたいな短篇集。どことなくミランダ・ジュライっぽい。はっきり言って「どーでもいい」みたいな話なんだけど、ものすごーく面白い! 壊れてる人間というか、女の業というか、突き抜けてて、でもどこか可愛くて・・・そういう女の人の描写が素晴らしすぎる。中でも『Q&A』と『袋とじ人間』の壊れっぷりはアッパレでした。「傑作です」という帯のキャプションはだてじゃなかった。ショート・フィルムっぽい感じで映像化しても面白そうな雰囲気だな。
2012/08/06
めろんラブ
書く筋肉(腕じゃなくて脳の)、それも瞬発力に関係する筋肉が異常に鍛え上げられていると、その作品に触れるたびに感嘆させられる本谷さんの最新刊。本作は13の超短編からなるまさに「嵐のピクニック」。毒気のあるシュールさは健在。日常に巣食う危うさを狙い打ち、瞬時に非日常へ反転させる手腕の鮮やかさには舌を巻く。速すぎて見えない秘孔突きもあって、理解する前に「もう死んでいる」状態になったりするのも本谷作品の醍醐味wこれが初・本谷だと???となる可能性があるかも。既刊書を読んでからの方がオススメかな♪
2012/09/23
kazu@十五夜読書会
初本谷 有希子著書。題名通り、最初の表紙・目次?微妙に活字がハイテンションに躍っていて、この本を先に読み感想を書いておられる、お気に入りさんの「ノッテ」いるときのコメントを思い出した。読みすすむにつれ、嵐に巻き込まれ不思議な世界に迷い込みヒャッホゥ(*゚ロ゚)ハッ!!生還できるのか?嵐の中から『バイビーバイビーバイビー』追記:試着室の移動(>_<)これから利用の時動き走り出さないか?余計な心配の種が増えてしまったわ。
2013/03/01
あつひめ
自分の心…自分ではどうにもならない。まるで別の生き物のような心。答えなんてなにもない。正解も不正解もない。ただ、流されるように生きるのが人間なのかもしれない。行き止まりではないけど…行けども行けどもたどり着けないそんな物語がズラリと並んでいる。もしかしたら…本当に人間らしい心の迷いを並べているかもしれない。
2013/12/19
kana
名翻訳家の岸本佐知子氏が「本の雑誌」で2012ベストとしてとりあげるような、つまりはそういう奇想短篇集。ボディビルダーを目指す主婦や亡霊病を発病して壮絶な最期を迎える女性やチンパンジーと交流する動物園の猿などが登場し、小気味良いテンポで進む様に心が沸き立ちます。けれどどこか哀愁が漂うというか、時にじりじりと追いつめられるような気持ちになるのは、日頃オブラートに包まれた本音や真実に、この突拍子のない愛すべき小品たちが連なっているように思えるからかもしれません。「パプリカ次郎」「Q&A」が特にお気に入り。
2012/12/28
感想・レビューをもっと見る