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森の家

森の家

森の家

作家
千早茜
出版社
講談社
発売日
2012-07-12
ISBN
9784062177061
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森の家 / 感想・レビュー

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❁かな❁

やっぱり千早茜さんの作品大好き♡緑に囲まれた森の家。30歳過ぎの美里は佐藤さん、その息子の大学生のまりもくんと森の家で暮らすことに。3編の連作短編集。辛い過去があり、人との距離感など上手く掴めない登場人物達。普通とは違う形ではあるけど大切な家族。皆、孤独でさみしい。まりも君の章の「パレード」で涙。何でもそつなくこなす大人なまりも君、佐藤さんの不器用さに苦しくなる。美里の奔放さ真っ直ぐさに救われる。千早さんの文章は綺麗で幻想的で静謐だが時に生々しく体温が伝わってくるよう。きっと大丈夫。皆の幸せを切に願う。

2017/12/28

おしゃべりメガネ

表紙の雰囲気やタイトルの文字インパクトから下手したら「ホラー・・・かな?」と勘ぐって?しまうような装いですが、なかなか読みやすく、意外とホワっと感動するお話でした。血のつながりがあいまいな父と子、その間にはさまれる一人の女性、その「家族」とはいえない同居人たちがそれぞれのトラウマやキモチの奥底にある深い‘闇’をかかえながらも、‘キモチ’をそれぞれにぶつけあい、少しずつ「家族」になっていく作品です。自由奔放な女性「みり」さんの『忘れられない景色を共有していたら、それは家族』というセリフにジワっときました。

2014/11/01

風眠

オールのない小舟が、流されてたどり着いた岸辺のように、淋しさを胸に置いた大人と子どもが暮らす森の家。佐藤さんと息子のまりも君と、佐藤さんの恋人のみり、互いのことに深く立ち入らない、寄せ集めの家族。『水の音』はみり、 『パレード』はまりも君、『あお』は佐藤さん、それぞれの目線で物語は流れる。冷たい水のように、キラキラと眩しい水面の光のように、そして底無し沼の黒のように。まりも君を産んだ果穂子の狂気が、通奏低音のように各章に鳴り響いている。それはまるで呪いのよう。読後、淋しさの余韻とともに本を閉じた。

2013/12/30

chimako

同じ家に住む3人がそれぞれの目線で語る、これは長編なのか連作なのか。中心に居るのは「まりも」という名前を持つ青年。その父であろう男性とその恋人。危うい均衝は男の失踪で壊れてしまう。いや、あの家にはそもそも家族の空気は流れていたのだろうか。皮肉なことに、壊れたことで繋がるもの、開ける気持ち、気づく執着。深く沈み込むようなあの家で交わされる会話はまるであの世から聞こえてくるようだった。「欠落」と「執着」がキーワード。根本的なところが欠けていて自分自身さえも信じられず、捨てながら生きることで何が得られるのか。

2018/06/23

優希

森の静寂の中で、孤独を抱えた3人が物語を紡ぎます。美里、まりも君、佐藤さんがそれぞれ人を信じることができず、関係の築き方もわからないながらも寄り添うように生活しているのが普通と違う家族の形を感じました。不穏な空気が流れ、深い森の中に引きずり込まれて行く感覚と水の匂いが漂う世界観が、闇の中に落ちて行くようでした。血のつながりや家族について考えさせられます。最後は希望が見えて良かったですが、ずっと低温度で高湿度な空気がまとわりつき、もがいていましたが、その空気が物語を静かに奏でているのだと思います。

2015/05/31

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