東と西: 横光利一の旅愁
東と西: 横光利一の旅愁 / 感想・レビュー
糸くず
戦前の人々が何を考えていたかに興味があって読んでみた。ぼくにとって、横光利一といえば、高校の時に習った「蠅」で、視点の斬新さと結末の呆気なさが印象的だった。この本は、未完の大作『旅愁』執筆時の横光とその時代の文学者の生活を綿密に調べ上げたもので、横光が、日本に誇りを持ちながらも、西洋に対抗出来うる具体的な何かを確信を持って表現できずに苦悩したのがわかった。著者の言うとおり、「日本は日本、西洋は西洋」と割り切れたらよかったんだけど、真面目すぎたのだろう。
2013/08/24
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