国を蹴った男
国を蹴った男 / 感想・レビュー
takaC
山上宗二の話が面白かった。 『小説現代』牢人大将(2011/11)・戦は算術に候(2012/3)・短慮なり名佐衛門(2012/7)・毒牙の舞(2011/1)・天に唾して(2012/5)・国を蹴った男(2012/9)
2017/01/31
さと
『国を蹴った男』が私の心に残った。好きなように生きる事が今の時代以上に難しく、与えられた運命を受け入れるしかない時代に、自らの心が喜びとするところを手放さない生き方は 今の私には、ただただ羨ましい。好きなことをする自由はなくても 定められた使命があるのも羨ましい。抗えない不自由さと決めねばならない自由 私は後者を生きたいと思うのだけれど、選択肢さえ見つけられていない。
2018/10/19
藤枝梅安
「小説現代」に掲載された6編をまとめた1冊。大名の下で働く家臣の更に下請侍たちの物語。上からの命のままに動かなければならない宿命を受け入れて死地に踏み込む男達の潔い姿が印象的。「国を蹴った男」は、蹴鞠が得意な今川氏真に仕えた鞠作りの名人・五助の苦悩と決断を描く秀作。「戦は算術に候」では、長束正家を使いこなしきれなかった石田三成の悲劇を語っている。小早川秀秋への軍資金をめぐる記述の中で、かつて秀次に使えていた頃のことを三成が思い出す場面では89ページ8行目の「秀次」は誤りだろう。ここは「秀秋」のはず。
2012/12/03
演習家康くん
表題作を含む6編の短編集。今川氏真を取り上げた「国を蹴った男」が秀逸。氏真という人はきっと今川が築き上げた文化の粋なんだと思う。元々父親の義元も党首の座は力で奪ったもの。誰かが押しのけて奪い取っても良かったのではと後世の人間は思う。関ヶ原の合戦でなぜに秀秋が寝返ったのか?という謎がこっちの解釈の方がよく合う。三成という人が家康に負けた本当の理由は「人を使いこなせなかった」からか?毛利北条名左衛門が家を守るために誰を敵とし誰と戦わなければいけないか?実は馴れ馴れしく近寄ってくるものほど信用はできない。
2013/11/22
pukupuku
時代ものって、面白いとは思うんだけど、なんだかすごく理不尽なこととか、忠義とか裏切りとかお決まりのパターンが多くて、読んでるうちにお腹いっぱいになることがある。そんでもって、武器を使わないだけで、現代の政治とか企業とか同じことしているよう。この本の前に読んだ「歪んだ蝸牛」も、結局は頂点に立とうとする人間の醜い勢力争いだったしね。今も昔も必ずしも優れた人が頂点に立つとは限らないし優れていても長続きするわけじゃない。だからこそ、その脇を固める人にスポットが当てられるんだろな。
2015/10/07
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