昼田とハッコウ
昼田とハッコウ / 感想・レビュー
〇〇肉店
良い本屋だな。そう素直に思いました。アロワナ書店のメンバーや田中家の家族、そして他の登場人物たちも、そのほとんどがクセはありますが良い人なんだなと感じます。それがとても心地よいのです。ストーリーはもちろん、書店情報も面白かったですし、雑談シーンがまた面白かった。ナオコーラさんらしさが出ているんじゃないでしょうか。
2015/09/19
なゆ
ナオコーラさんなのにぶ厚い…と読んでみたら面白かった!地域密着型の〝アロワナ書店〟の三代目、やる気ゼロの名ばかり店長ハッコウ。ハッコウとは双子同然に一緒に育った昼田。はじめのうちは、昼田とハッコウの兄弟愛?友情?のような微妙な関係性や家族の繋がりなんかをメインに書かれてたが、だんだんアロワナ書店のこれから、そして書店文化が辿るであろう未来の話にまで及んでいく。ナオコーラさんの書店に対する想いを、書店員に目覚めた昼田に語らせてるのだろうか。うちの近所の昔からの本屋さんが先月閉店したばかり。文章が胸に刺さる。
2014/07/29
ガクガク
「町の本屋さん」が舞台で、そこを経営する「昼田とハッコウ」2人のいとこを中心に物語が展開する。確実に消えていく運命の町の本屋や出版業界の状況なども本書のテーマではあるのだろうが、それより家族とか、血の繋がりとか、自己と他者との関係、地域で生きることなどのテーマの方が、より重く切実に感じられた。著者や読者の関心もあり書きやすかったという点で、たまたま書店を舞台に選んだのではないか。突然現れる昼田の子どもや父親は唐突感はあるが、現実って案外そんな風に「ある日突然」変わっていくことも確かにあるのだ。装丁が秀逸。
2013/10/27
ぶんこ
街の本屋さんの様子がよく分かり面白かったです。宇宙人のようなハッコウといとこのミナルが街の本屋さんの3代目と店長として、自覚が芽生えていく過程が、登場人物に常識人が少ないだけに面白いような、いささかイライラするようなお話でした。大手チェーンではない本屋さんの話なので、読みながら、自分が知る範囲での街の本屋さんを思い浮かべていました。ほとんどを図書館予約の私が言うのはおこがましいですが、頑張って欲しいです。
2016/12/05
ねむねむあくび♪
今までご縁が無かった山崎ナオコーラさん。もっと読み難い作家と思っていました。思いの外読み安く、面白かったです。書店が舞台だったのですが、書店ガールとかのような熱いお仕事小説でなく、衰退していく「本」と言うメディアと「書店」という業種を、達観しながらも、寄り添って見届けようとする、書店員としての矜持が語られる所が好きです。熱さも派手さも無い。まろほ駅前の二人のような活躍は間違っても存在しない(笑))閉店するスタバでの考察など、心に残る言葉があちこちに。滅びると思いつつ、なお前向きな姿勢が潔くて良かったです。
2015/12/13
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