空白を満たしなさい
空白を満たしなさい / 感想・レビュー
れみ
3年前に死んで生き返った主人公・徹生が自分の死の真相やこれからの生き方を家族や周りの人とともに考えようとするお話。色々なことが未消化なまま読み終わったけど、“分人”という考え方は何となく分かるなあと思ったのと、死んだ後も思い出や影響としてこの世に残るというところが、少し前に読んだ伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」とも重なって興味深かった。
2014/05/04
優希
生死がテーマなので、かなり重みがありました。死ぬこと、生きること、幸せとは何かという哲学を追い求める中での困難が語られていきますが、そこにある分人という考えには共感が持てました。死から蘇るということはありえないことですが、あえてそれを描くことで追及していく生死の意味。小説でありながら、思想を語る作品のようにも感じられます。
2017/12/08
かみぶくろ
ラストでおもいっきし泣きました、再読なのに。自然に画が頭に浮かぶ、あまりに美しいシーンだ。平野さんの小説、大好きです。
2016/08/20
yumimiy
家読みで三島の「命売ります」、外読みで「空白を満たしなさい」どちらも自殺から始まる。この並行読みはお薦めですw、自殺に失敗した男が命を売る一方、自殺に成功した男は生き返り苦悩する。交互に読んで思ったのは、そんなに急がなくても遅かれ早かれいずれ死ぬのになぁ。本書の分人主義だが、個人ではなく分人の集合体は都合がいい。ストレスを分散できる。嫌な対象はパッパッと切って関わっていた分人を開放しよう。辛い分人、悲しみの分人、苦しみの分人、泣いている分人、み~んな自分なんだから手を繋いで輪になって踊ろう~♪人生短しだよ
2022/08/09
R
死人が蘇る、復生者と呼ばれる人たちが突然現れはじめた、そんな世界の戸惑い、なにより本人たちの不安、なんのためにそうなったのかと考えてしまうんだが、物語はそういうところに落ち着かない。この不可思議な状況から、人間のありかた、誰かと接している自分は、別の誰かと接している自分とは違う人物で、それらの集合体が自分であるのではという哲学的な思考を物語として体感していく。その集合が欠けた時、それを満たすのは何か、自分を形作るものを考える物語だった。
2021/12/13
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